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天井が白い

目が覚め瞼を開くと電球の光が眩しく目を細めた
薬品の独特の匂いと部屋の白さにここは病室にのだと気づく
起き上がろうとすれば背中に痛みが走り、そういえば任務で怪我をしていたことも思い出した

任務で背中を怪我したのは覚えているが自分が病室に行った記憶はない
最後に残っている記憶はヘリで少し眠りにつこうとしたところで終わっていた
ヘリで眠った俺を誰かがここまで運んできたのだろうか
傷も手当てしてあるようで包帯が巻かれていて格好も薄く青色のした簡素なもの、如何にも病人ですな服装になっている

シャッ

俺が横になっているベッドを囲むカーテンが開く音がし、そちらの方向へと目線を向ければ火の付いたタバコを片手に持つリンドウがいる。

「お、起きたか」

どこからか椅子を持ってきたリンドウは俺が横になっているベッドの側に置き座った

「おはようトウ、気分はどうだ。あ、起き上がんなよ」
「最悪ですけど」

こちらに来るリンドウの吸うタバコの煙に眉間にシワを寄せる
寝たきりのままの俺は頭はそのままで目線だけをリンドウへうつす

「どうやら大変だったみたいだな、お前の怪我の経緯は知らんが」
「んなのは知らんでもいーです」
「隊長である訳な俺は知りたいぞ」
「よそ見じゃねーですか、きっと」

よそ見で間違ってはいない、そう、間違ってはいない

「・・よそ見ね、ふーん」

あまり信じていなそうなリンドウの反応だが俺は気にしない

「ま、とりあえずな、三日間は安静な。その後は傷の具合を見て仕事を開始だそうだ」
「ごめーわくをお掛けしますね」
「何、ご迷惑をかけられるのが隊長の仕事だからな」

はははと笑うリンドウだが俺の気分は下がる一方だ
三日間も寝たっきり?
しかもその三日後でも職場復帰は怪しい
本当、ただの役立たずじゃねえか

「まあ、その話は置いといて今度新たな新人が来るんだが」
「はあ、新人?」
「そう、新人」
「俺とコウタが来たばっかじゃねーですか」
「そんなん俺も聞きたいよ。まあ、いつでも極東は人手不足だしな」

ありがたい話なんだよ、とリンドウは一人頷くがそれで一体何が言いたいのか

「それで今度来る新人が新型でな」
「へえ」

新型ってのは自分が言うのもあれだがレアなのではないのだろうか
俺がここに来たときも新型新型と大騒ぎだったのにまた新型?
なんで極東に?

「それでそいつ、どうやら精神が不安定気味らしくてな。担当の医師もついてくるだそうが同じ新型のお前にもそいつを見てやってほしい」
「めんどくせえ・・」

同じ新型だからと言われてもそれはとんでもなくうぜえしめんどくせえ
誰かの面倒を見ることが俺にできるとでも思っているのだろうか

「なんかあった時にちょっとフォローとかしてやってくれよ」
「はあ・・」
「おーおー、やる気のない返事だ」

するとリンドウはタバコを手にしていない方の手を俺の頭の上に乗せた

「なんですか・・」

払い除けたい

「おら」
「っ・・!」

その手は俺の頭を強い力で撫でる
ただでさえ寝たきりでボサボサの髪が更にぐしゃぐしゃになってしまう

俺はこの展開にどうすればいいのかと必死に頭を巡らせながらリンドウの方を見るとやつは笑っている
楽しそうに笑いながら俺の髪をぐしゃぐしゃにしているのがムカつき俺はリンドウの手を掴み動きを止めさせた







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