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「おー、いたいたトウ。今日はエントランスのテレビの所に集合な」

リンドウは訓練場に向かう俺にそれだけ言うと忙しいのがすぐに去っていった


「今日もお疲れ様です、頑張ってくださいね」

訓練でかいた汗をタオルで拭きながら受付の前を通りすぎるとヒバリというオペレーターに話しかけられた
微笑みながら言うヒバリに俺は「どーも」と小さく答える
こんな俺にまでいちいち挨拶とは仕事でも偉いと思う

集合場所につけばサクヤがいてテレビに写っているニュースを真剣に見ているようだった
ということは今日の任務はサクヤとリンドウと俺だろうか
サクヤとリンドウは世話好きなのか人のことを変に気にしてくるから余り接したくないタイプだった
今はもう慣れてきて言われたことは流したりちゃんと聞き入れたりと内容による

「本日未明、外部居住区生活者を中心とした団体によるフェンリルに対する抗議集会が世界各地の支部前にて行われました」

テレビに映る女が何も感情を込めさせない、ただ淡々とした言葉で今の現状について語る
その内容をサクヤは少し後ろにいる俺の存在には気づかずただ真剣に見て聞いていた

食糧供給の増量、防衛の強化、雇用枠の増加

そのためにデモ行進をするなんて自分は偉いと思ってしまう
自分だったら住んでた環境の違いもあるだろが面倒であるしそんなことしてもなにも変わらないと思ってしまう、そんな暇があるならば明日を生きるための食べ物を探しにいかなくてはならない

しかし周りは考え方が違うようで他にもニュースを見ていた奴らの意見がチラホラと聞こえる
俺は少し奴らとは違う場所にいる気分だった
そういえばコウタは居住区に家族がいるらしいがヤツの意見はどうなんだろうか


「あら、トウ。おはよう」

ニュースが一区切りするとサクヤは振り向き俺の存在に気づいたようで朝の挨拶をした
サクヤによると朝の挨拶は大切なものらしい

「どーも」
「いたなら話しかけなさいよ」
「めんどくせーんで」
「そんなことが面倒でどうするのよ」

サクヤは小言をいい始めるが俺はそれも慣れ適当に聞き流す

「ちょっとトウ、聞いてるの?」
「うぜー・・」
「ちょっと、トウ。先輩や年上には敬語だって何回言えばいいの?そんな態度じゃ社会人としてやっていけないわよ」
「はあ・・うぜ・・」
「敬語」
「はい・・」

本当めんどうだ
サクヤのおかげで嫌々ながらも敬語というものが身に付き始めている
ふとタメ語をサクヤ相手に使うと「敬語」とうるさい

「そういえばトウ、最近すごく活躍してるらしいじゃない」
「・・はあ」

そうだろうか、自分は相変わらずまだまだだと思うが
ガードは遅いし動きだってまだ無駄がある
何より自分がお荷物になることが一番ムカつく

「口以外は期待以上だって評判いいわよ」

「口以外は」というところが強調されたような気がするが俺はそのまま無視して話を聞く

「あまり張り切りすぎないでね・・神機使いはすごい人ほど早死にするから・・」
「すごい人ねえ・・」

そのすごい人の基準は一体どこにあるのやら

「そんなこと言ってやるなよ、トウは毎朝がんばってるんだからよ」

やっとおでましかと声のする方を向けば、相変わらずおっさん臭い雰囲気を出すリンドウは階段を降りながら現れた

「それにその言い方だと俺はまだまだってことか・・」

わざとそうに頭をかいて悲しむリンドウ
こいつの自然と会話に入ってくる能力はすごいなと思いながら俺は訓練場でのことがバレテいることに気づいた
隠しているわけでもないが知られていても恥ずかしい








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