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今日は朝から任務があるからといつもより早めに訓練所を出て汗をタオルで拭きながらエントランスのノルンの隣にある手すりにもたれていた
心なしか前よりは体力がついたような気がしていて毎日の努力の効果だろうか
しかしまだまだ足りない
もっと練習や体の鍛えが必要だ

顔をふとあげると目についたのは毎日うるさいくらい元気のコウタだった
彼はこちらに気づくと嬉しそうに笑いながらこちらに小走りで来た

「よお、トウ!」

コウタは俺と同じように手すりにもたれ何が嬉しいのかニコニコと笑いながら言う

「・・どーも」
「もっと違う挨拶はないのかよー」

少し不満そうにコウタは言ったあとハッと思い出すように口を動かした

「そういえばこの後、あんたと一緒の任務だな」
「・・は」

俺はまだ任務の詳細確認をしておらずその事については知らなかった

「何だよ、その嫌そうな顔は」
「嫌そうじゃなくて嫌なんだよ」

「なんだと!俺だって役に立つんだからな!」
「へー」

俺たちは新人なのでお互い評価などたかが知れている

「嘘じゃないからな?俺の素晴らしい射撃見てろよ?」
「おー」
「ちゃんと聞いてるのかよトウ!」

「これでも俺は家族を支える大切な柱の部分で・・」
「お前家族いるのか?」

まあ、確かにいそうといえばいそう
このお馬鹿な性格からして一人で生きてきた訳ではなさそうである

「おう、母さんと妹が一人」
「居住区暮らしか?」
「そうそう、だから俺がバリバリ死なない程度に仕事をして家族の生活を支えてやるんだ」
「そりゃすげー」

本当にすごいと思う、俺にはそんなに眩しい意志は持てない
コウタは思ってたよりは甘い男でもなくバカでもなくちゃんと意志を持ったヤツだったようだ
コウタは俺の言葉にどう思ったのかすぐに話の内容を変えた

「そういえばここって美人が多いよね」
「・・、そうか?」
「え?、そうだよ!サクヤさんとかツバキさんもみんな美人じゃん」

言われた奴らの顔を頭に浮かべるが俺としてはそんなにピンと来ない
俺としては美人という判断がつかないと言えばいいのか

「・・へえ」
「なんだよ、その反応は」

「まあ、なんとなくわかってたけど」とコウタはわざとらしく大きいため息をついた

「それよりヘリ搭乗時間もうすぐじゃねーの」

端末機を見るとあまり時間がない
コウタはどうか知らないが俺はまだ任務の準備が終わってはいない

「あ、ほんとだ!やべー!」

コウタも自分の端末機で確認すると準備が終わっていないのか慌て始めた

「よろず屋行かねーと!」

するとすぐ側にある階段を急いで降り始めたが何を思ったのか途中で止まりこちらに勢いよく振り向いた

「今日の任務、どっちが多く倒せるか勝負しようぜ!」

コウタはそれだけ言うとこちらの返事も聞かないで階段を降りていってしまった

こっちの返事くらい聞けよ、どうせ拒否しないけどよ

自分も今日の任務は何時に帰れるかわからないため久治郎ときん子に餌をやっておこうと早足でエレベーターへと乗り込んだ







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