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「・・腕、手当てしとけよ」
「どーも」

この前は絆創膏をくれ今回は手当ての心配
やはり悪いヤツではない、言うのであれば俺の方がよっぽどの悪いヤツだ


任務から帰宅するとその日は情けないことにもう疲れきっていて自室のベッドに倒れこんだ
構ってと寄ってくる久治郎の頭を撫でてやりながら今日の任務について思い出す

ここでも人の死は簡単なものだった
あっけなく単純に人は死ぬ
結局簡単に人が死ぬのはどこでも同じなのだ
しかしそんなことよりも俺にとってはあの時反応できなかったのが悔しかった
あの時傍にいた俺なら、なにか来ると気づいた俺ならエリックを助けることができたかもしれなかった
いや、しれなかったじゃない、できたんだ

居住区では自分は強い方だと思っていたがまだまだだった
新人だからと言って甘えられないしそれは許さない

こらからは訓練所にこもることを決めそのまま俺は眠った




朝になると俺は久治郎ときん子にえさをやるとすぐさま訓練所へ向かった
手には水の入ったペットボトルとタオル
今日はとりあえず動かないアラガミに対して切りまくろう、あとは捕食のタイミングを掴みたい
昨日のエリックのことを思い出せば自然と舌打ちが出た



「っふー・・」

汗をタオルで拭いペットボトルの水で喉を潤す
午後には任務があるため今日はこれで切り上げようとタオルを首にかける
どれくらい動いてただろう

昨日よりはすこしでも動きはましになっただろうか
いや、まだまだだ
終わりなんて見てしまったら強くなるのに限りが見えてくる
それに訓練所は結局訓練であり実戦とは違う
練習をしたことで満足するなんてそんなことは許さない

エントランスへ行きよろず屋で午後からの任務の用意をしていると見た目からしてうざそうな男が嫌らしい表情をしてこちらに寄ってきた

「おい、新人。死神の噂知ってるか?」

ああ、確かに噂話が好きそうな顔をしている
できれば相手にしたくないとよろず屋で購入したものをポケットに突っ込みその場を立ち去ろうとその男に背を向ける

「おい、無視かよ新人。新型だからって偉ぶってんじゃねえぞ」

俺の肩をつかみ少し大きめな声で男は言った
大きな声で言ったことにより周りがこちらに視線を向ける

「うぜー」
「は?」
「噂とか興味ねーよ」

男の方へと振り向けばそこには怒った顔






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