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落ち着け、動揺するな

いつもより少し速く鳴る心臓の音を聴きながら俺は自分を宥める
目の前で人が死ぬことなど居住区ではよくあるで慣れていたはずなのに今は驚き、恐怖、そのあとに悔しさの感情が俺の中を流れる

リンドウの言っていたソーマともう一人との任務
そのもう一人が今アラガミに殺られた
上からアラガミが襲ってきたのだ

赤髪のサングラス、上半身の大きなタトゥーが目立つうざったらしい喋り方のエリックという男


俺に自己紹介をしている途中でアラガミがエリックを襲った
俺は"何か来る"という直感で後ろに一歩ステップしたので無傷である

「エリック、上だ!」

気配に気づいたのはソーマでエリックに叫んだがそれは間に合わなく俺が何が起きているかも把握する前にあいつはアラガミを一撃で討伐した

一番近くにいたのは俺なのに何もできなかったのだ

「・・ッチ」

ソーマは舌打ちをすると神機を肩に担いだ
目の前で人が死んだというのに落ち着いている
この前会った時には冷たい人間とは思えなかったので慣れかそれとも無理に冷静を保っているのか


「・・ようこそ、クソッたれな職場へ」

その言葉は嘘も何もない、本心の一言だろう

職場についてどう思うのかは自由であり、確かに仕事内容としては良い職業とは言えない
しかし今のところ俺はあの居住区に戻りたいと思うほどこの職場に苦難を感じていなかった
これからもそうだろうと信じたい

こいつは自分の職場をクソッたれと言うがその続きはなんだろうか
クソッたれだとしてもこの仕事に思うことがあるはずだ

「言っておくが此処ではこんなことは日常茶飯事だ」


ソーマは俺がどう反応するかを確かめるようにジッとこちらを見た

俺が住んでいた場所でもそうだと無表情を突き通しながら心のなかで返事をする

感情を読み取られたくはない
相手が俺の感情を読み取りどう思うのかはわからない
わからないからこそ感情も思いも知られたくはない

「・・うぜー」

口に出せるのはいつの間にか口癖になってしまったこの言葉である







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