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 3

「お前、一応俺は上官だぞ、もっと言葉使いをだな」

リンドウはため息をつき机に置いてあった水を一口飲んだ

「あ、俺の隣にいるやつはソーマ、良いやつだから仲良くしてやってくれ」

すると隣にいたソーマというやつは顔を少しあげこちらを見た
フードで隠れていた顔が見え、綺麗な青色の目をしていた
そして褐色肌の白髪
やはり髪が柔らかそうだ、触ってみたい

「どーも、俺は鳥場トウ」
「・・ソーマだ、別に覚えなくても良い」

「・・バカにしてんのか?」
「は・・?」
「俺はお前の名前くらい覚えれるっつーの」

ソーマは眉間にシワを寄せた
確かに俺は名前を覚えるのが得意ではない
学もない

しかしこんな言われ方をしては覚えるしかなく
言ってしまっては覚えるしかないなくなってしまった

ソーマソーマソーマ

白髪で褐色、フードの男はソーマ

「そーゆうお前は俺の名前は覚えてんのか」
「・・鳥場トウだろ」
「そーだよ、忘れんじゃねえぞ」
「・・そこまでバカじゃねえ」

ちゃんと名字まで覚えてたソーマ少し良いやつだと思ってしまう
名字までなど興味がないとすぐ忘れてしまうもんだ

「ソーマの名字は」

名前を呼ぶことに少しむずむずしながら俺は聞く
ソーマが俺の名字まで覚えたというなら俺も覚えるのが礼儀だろう

「・・・ッチ」
「名字が嫌いなら別に教えてくれなくてもいい」

少しの沈黙
そんなに名字に意味があるのか
名字がただたんに嫌いなのか誰かと同じ名字でそれを知られたくないとかだろうか

「・・・・シックザールだ」
「シックザール・ソーマか」
「ソーマ・シックザールだ」
「・・シックザールが名前なのか」
「・・ソーマが名前だ」

カタカナの名前ってのは名前が先に来るのか
シックザールという名字は覚えにくそうで忘れそうだ
シックザールという名字はどこかで聞いた覚えもない
そんな面白みのあるものでもなかった
なぜ教えることを嫌がったのか少し疑問になったがそれ以上考えることは止めておく
リンドウは少し面白そうにこちらを見ていた

「でな、トウ」
「んだよ?」
「明日ソーマともう一人の任務でソーマは同じ第一部隊だ、これから一緒に任務行くことが多いだろうからケンカするなよ?」
「・・了解」



「・・おい、指」

ソーマが俺の手に気づいたのか目線をそっちに向ける
血はさすがに止まっていて赤く濡れていたティッシュは乾いて少しパリパリしている

「ああ、包丁で切っちまったんだよ」

指に引っ付いているティッシュを取り傷口を見る
血は結構出たが傷はそんなには大きくない

「トウ料理するのか?なんか意外だな」
「すげえ簡単なのしかできねえけどな」
「この前お前と一緒に任務行ったサクヤも料理するんだよ、こんど話してみたらどうだ」
「ふーん・・」

サクヤというのは確か露出の多かった女のことだよな
確かに料理をすると言われてもあの女なら違和感はない

「・・ッチ」

ソーマはポケットから何かを出しそれを俺に渡した
それは少し大きめの絆創膏だった

「ソーマいつも絆創膏持ってんのか」
「・・俺たちの仕事がなんだと思ってやがる」
「いや、まあ、そうだが・・ありがたくいただくぜ」

あとで乾いた血を落としてか絆創膏をつけようとポケットに入れる








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