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今日も無事任務が終わり、体にたまった疲れと無事生き残っている思いを吐くように息をつく
砂埃で少しパサついた髪を指で溶かすとパラパラと砂が床へと落ち少し汚れてしまった
髪も素直に指を通さず途中で引っかかる
自室のシャワーを浴びさっぱりした体と気分にサクヤは今日もやっと一日が終わるのだと内心ホッとしながらソファに腰を沈めた
髪はまだ乾ききっていなく首にペタリと引っ付いていてうっとおしい
何か食べるものはないかと冷蔵庫の中身を確認するとリンドウへと渡す配給ビールが結構な数へと溜まっていた
最近リンドウは秘密のデートというのが多いらしく部屋に来るのは以前と比べ少なくなった
きっと彼のことだ、そんなデートというのも中身は仕事がかかわっているのだろう
しかし冷蔵庫をなかなか圧迫しているのでいい加減引き取りに来いと連絡を入れなければならない
ピンポーン
そんなことを考えているとなんとも良いタイミングがお客が訪れた証のチャイムが鳴った
彼であろうか?
その確率は高いかもしれないけどもし違うかった場合には私はテンションが少し下がってしまうことだろうし恥ずかしい
鏡でまだ乾ききっていない髪が変なことになっていないか確認した後玄関へと向かい扉を開けた
「よ、配給ビールあるか?」
扉を開ければ心の隅で期待していた彼だった
体は疲れていても心は浮き上がるのを感じそんな自分に叱咤したくなる
「目を合わせた瞬間に言うのはそれしかないの?隊長殿」
「あー・・任務お疲れ様ですサクヤ殿」
「その前にこんばんはじゃないかしら、リンドウもおつかれさま」
少ししかあけていなかった扉を大きく開けリンドウを中へと誘う
先にシャワーを浴びておいてよかった、彼はどれだけ長居するかわからない
「こんな時間に女性の部屋に押し掛けるのはどうなの?リンドウ」
「今更そんなこと言うなよ、サクヤ」
冷蔵庫から日本ほどとりあえず取り出し一本はリンドウの座る机の前に、もう一つはリンドウへと手渡しをする
「いやあ、ありがとうございます」
「まったくよ」
リンドウはプルタブの口を開けビールを一口、二口
飲み口から口を離さずこちらにまでも喉を鳴らす音が聞こえそうなくらいにはおいしそうにごくごくと飲んでいる
そして飲み口から口を離すと生き返ったかのようなため息
そんな様子をリンドウの隣に座って何年もみている私もよく飽きないものだ
「それで、リンドウ。こんな時間に訪問なんて何か話があるからじゃないからかしら?」
さすがに彼でも常識はある
今の時間帯は一般の人はもう眠りについていてもいい時間だ
「ん、あぁ」
もうほとんど残っていないであろうと思われるビールの缶をまだ空いていないビールの隣に置きリンドウは一息ついた
「今日、例の新型との任務だっただろう」
「えぇ、そうね」
「どうだった?」
今日の任務を思い出す
口は悪く舌打ちばっかではあったが任務を一緒にこなすことについては技術の面では特に問題はないと思った
任務も順調に終わったし射線もしっかりとはいえないものの開けようと意識しているようではあった
「動きもよかったし新人としては特に問題もなく十分なくらいじゃないかしら」
「・・そうか」
「俺もそう思う」とリンドウは呟き残り少なかったビールをすべて飲み干すともう一つのビールのプルタブを開けた
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