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 3

喰った瞬間に体の中が熱くなり溢れ出すような力
そして本能が動けと命令する。

神を殺せと、生きるために、生き残るために

体の奥は厚いが頭は冷静に静かに思考している

少し世界が遠くに感じた
音が遠くに聞こえる
胸がさらに熱く力がみなぎる

その力を実感するように神機を持っていないほうの手で強くこぶしを握る

「……っふ…っ……」

体の高揚感に耐えるように息が漏れた

次から次へとどう動けばいいのかイメーイができる
しかしその通りに動ける、体がついてゆく

オウガテイルの返り血を浴びるがそんなことは気にしていられない。

体が動く

神器解放には時間に限りがあるのだ
自分の体によっぽどの傷がつかないかぎり攻撃するのみ


とうとう最後の一体になり力の限り急所を突けば奴は倒れた。
リンドウの攻撃もあり結構傷ついてたようであっけなく倒せた。

先ほど顔に浴びた返り血を袖で拭い息をつく。
神器解放はもう終わっており、さっきまでは感じていなかった疲れを感じる。
体は重く、回復錠を飲んだとしていても体は痛む。

神器解放はどうやらあとから疲れが来るタイプのようで
神器解放のすごさは実感し理解できたがそれと同時に神を喰らうことで得た力と思うと嫌な気分だ。

はあ、と息をつき服についた砂ぼこりを払う。
これからはこうやって生きて行くのか、そうか

とりあえず初任務完了ということで満足感を得た。
改善しなければいけないところは数多くあるがとりあえず本物のアラガミを倒すことができたのだ

「おつかれさん」

リンドウが後ろから俺の肩にポンと手を置く

「初任務での評価はまあまあだ、これからもがんばってくれよ新型」

そのまあまあ″というのは良いほうの意味なのだろうか、それとも悪いほうか
自分的には悪いほうだと思うが

体が重く足も痛く座り込みたくなったがプライドがそれを許さない

「討伐完了といっても帰るまでが任務だ、油断するなよ?」

そんなことを言うリンドウの声をききながら空を見上げる。
もう日は下がってきていて夕方だ。





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