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「クレイ、どうすんの?どのタイミングでいくの?」
「……そうだな。あまりにも遅すぎると、目立ってしまう」
「かといって早すぎても注目浴びちゃうっしょ?ほんとど真ん中くらいにいっとく?」

的の方向を気にしながら、クレイは相変わらずの仏頂面で小さく頷いた。ルカは大きな欠伸を噛み殺すと、目尻の涙を気だるそうに拭う。魔法の天才にとって、こんな授業は暇潰しにすらならないのだ。
そんな二人をよそに、ナッツは魔法未経験らしき誠とライチに説明を始めていた。

「説明難しいのは、しょうがないと思うぞ?心にイメージを描く……ってのが、まず分かりにくいし。こう……心臓に筆で絵描くみたいな!」
「それこそイメージしずれーよ!!!」

自信満々だったアドバイスは、誠のツッコミにより撃沈した。見かねたクレイが、そうっと呟く。

「口に出せば、どうだ?」
「ブッ、そのアドバイスクレイが言っちゃう!?」
「あ、でも、いいかもしれないね」

横のルカが腹を抱えながら必死に込み上げる笑いをこらえ、ライチがにこにこと柔らかく笑みを作る。思い付いたように手を合わせる仕草は、端から見たら女子だ。そして、ただ一人理解出来ていない男は眉をしかめる。

「……えと……つまりどーゆー……?」
「魔法は知識とマノが鍵。マノはともかく、まずは自分の知ってる火を口に出せっつーことよ女顔クン」

ルカの飄々とした口調で発せられた言葉を聞き、誠の目は瞬時につり上がる。

「女顔は余計だ!!てか、出せっつってもなあ……」
「熱い、燃えてる、赤とオレンジ混ざった感じ、ゆらゆらしてる、触ると火傷する、パチパチ音が鳴る……とかで良いんだ!」
「へー、そんでいいのか」

もっと小難しい知識を要求されると思っていた誠は、ナッツの話を聞いて声色が明るくなった。こうしている間にもグランに続いて二人程、火の球的当てを成功させていた。



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