2


「……ま、かたっくるしいことはそんくらいだ。神なんて奴らも化け物もみんなアホがなるモンだ。無駄にでっけーの欲しがったって馬鹿を見るだけだから俺はオススメしねえぞ」


ぼりぼりと掻く音が合図となり、教室に張りつめられていた空気が緩む。あちこちから、ほうと安堵の息が吐かれる。だが、グランを始めとした一部の貴族は、ネイティを睨んだままだった。

「んじゃま、魔法のやり方説明始めるぞー。やり方はちょー簡単。心の中にイメージ描いて、それを実現するように念じる……簡単だろ?ただし、たまに勘違いする奴もいるが、俺が言ってるのは『心の中』、闇のキャンバスだ。『瞼の裏』じゃねぇからな。証拠に瞼の裏ってこう……実際目閉じれば分かるけど白いもやみたいなのあんだろ?だから駄目。あと……あー、魔法には種類がある」

ネイティは手のひらをひらひらと生徒達に見せつけると、ぐっとそれを握りこむ。そしてもう一度開くと……あら不思議、そこには真新しい羽ペンがちょこんと置かれていた。

「まずは『生産』。空気中のマノと自分の中に循環してるマノのエネルギー……マナジーっつーもんを利用して、何もないところから、一から物を構成すること。種類は大きく三種類あるが、これが一番疲れる。んで……」

ネイティはひょいとそれを投げると、二本の指で摘まむ。その一瞬の間で、羽ペンの羽の色が白から赤く染まっていた。一連の流れは非常に鮮やかで、クラス中が食い入るようにネイティを見つめていた。既に魔法のことを知っている人間は除いて。

「『変化』。元からある物のマノとマナジーを使って、形状を変えたり色を変えたりすること。これはどんだけその物から変えるかによって使うマナジーの量も変わるなー。まったく別のもんに変えるならそこそこ疲れるし、色変えるくらいならそんなでもない。で、最後」

ネイティはにやりと悪戯っぽく笑う。それを皆が疑問に思うと同時に、ネイティはぱっと手を離した。重力に逆らうことなく落ちた羽ペンは、床に転が……る直前に、ふわりと軽やかに、浮いた。そのまま最前列の生徒の目線まで上昇すると――弾かれたように、勢いよく飛び出した!



2

next→





「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -