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一行がたどり着いた本屋は、本屋と言うよりも図書館と言った方が良いだろうか。東の突き当たりにあるそこは、厳粛な雰囲気漂う古びた洋館。年期の入った音を立てて巨大な扉を開けると、一歩踏み出した瞬間から、本の楽園である。
中央にはカウンターが構えてあり、それ以外の壁には、小説から雑誌、教科書、絵本、歴史書、ありとあらゆる本がカテゴリーに分けられて眠っている。しかも、本屋は四階まで存在する。ただでさえ、見上げると首が痛くなる程高い天井ギリギリまでの本棚が所狭しと並べられ、その本棚にもぎゅうぎゅうに本が詰められているというのに。目が回りそうになる光景だ。
「な……なんじゃこりゃ……」
否、既に一人、とっくの昔に本棚を見上げて目を回している女顔がいた。
「へー、噂には聞いていたけど、来るのは初めてだね」
「ああ。……ルカ」
「んー?」
興味津々と言わんばかりに周りを見渡していたルカは、微動だにしない相棒の横顔を見上げた。クレイは、なんとも形容し難い光を、持っている風船色の瞳に宿していた。期待とも、哀しみとも、喜びとも違う……あるいは、それらが全て混ざっていたかもしれない。
「ひとつ、探し物をしたい。先に買っておいてくれないか?」
彼の目線の先を確認するが早いか、ルカは納得がいったように大きく頷いた。
「……りょーかい。すぐに行くよ」
「頼んだ」
クレイは四人から外れ、生物と書かれたプレートが貼り付けられた本棚へと、まっすぐに向かって行った。
「それで……店員さんはどこだろう?カウンターに行けば良いのかな?」
ライチが目眩を起こしかねない本棚の壁を見回っていると、目の前を、何かが横切った。ぱさぱさと、妙な音を奏でながら。
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