これは昔のお話です
……それはいつかの時代、どこかの世界。
神と魔族による己の存亡を賭けた争い。神魔戦争と呼ばれる、歴史上最も大きな戦争が終結してから、長い長い時が流れました。人々は平和の中に身を浸し、ゆるやかな時間を楽しんでいました。
けれどもまだ、大きな大きな爪痕がそこにあったのです。魔族が生み出した、悪魔と魔物。戦争を生き残った彼らは、人里を襲ってはおおいに人間達を困らせていました。
そこで、「ギルド」という組織が立ち上がったのです。ギルドは人々の悩みや不安を払拭するために出来た、正義の集団です。人間達は力を合わせて、今日も悪魔と魔物を倒す事に大忙しでした。悪魔達を倒さなくては、本当の平和は訪れない……。そう信じて。
「この世に生きる全ての者達は、それを望んでいるのか?己に眠る宿命は、それを望んでいるのか?」
その奥底で、小さく小さく声を張り上げる人がいる事も、とんと知らずに……。
――種族の根本を覆す、激動の時代。これは、そんな混沌の時を生きた子供達の物語……。
これは昔のお話です