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掲示板は少し高度を上げると、ふっと細かに数回ぶれたと思ったら、その大きさを一回り大きくさせた。それに従い紙の文字も大きくなり、二人の前方から感嘆の声が上がる。縦の長さはクレイ八人分、横の長さはその二倍といったところだろうか。しかし、天井に掲示板の天辺が当たってしまいそうになっていて、二人をはらはらさせた。

「クレイ見えた?」
「……難しいな。ギルドマスターからはC寮……だったか?となる話を聞いていたが、……数が多い」
「上流貴族さんは見つけやすいようになんかでかいしねーあーやだやだこういうの大っ嫌い俺」

掲示板には、存在する四つの寮……A〜D寮の欄に分かれて名前が書かれている。A寮は優遇する制度でもあるのか、他の寮よりも分かりやすく大きく生徒の名前が記されている。貴族とあらば毒を忘れないルカは、あくまでもさりげなく、しれっと言いはなった。
彼が自分の名前を探す作業を放棄している事は、誰もつっこまない。

「見つけた。C寮の……ルームハリーヌ……と書いてある。組はBだな」
「ルームハリーヌぅ?なんだそりゃ?ハリーヌでも飼ってんの?」

ルカがすっとんきょうな声を上げると、先程のハキハキとした大声が再び飛んできた。

「寮と組を確認したら、寮行ってルームメイトの確認しろよー!あ、A寮は必要ねえけどー!あと入り口の予定表取ってけよー!」
「……なるほど、A寮さんは個室なんだー、へえ……ふうん……」

口元はにやついていたが目元はまったく笑っておらず、こめかみにくっきり青筋を浮かべさせるルカだった。



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