Is it real? | ナノ
03 get away from it all

「…………なんだこの有様は」

フィニ(羊)から事情を聞き、今回の騒動の産物を見に行くことにした。
そしてセバスチャン(錫也)&フィニ(羊)と共に厨房に行き、口から出た一言。

「ごめんなさい坊ちゃん、セバスチャンさん……」

しゅん、とあほ毛を垂らしてフィニが俯く。
………この目の前の彼を見る限り、『私』が知っている毒舌の羊はいないようだった。
なんだか月子一筋で、彼女に仇なす者には容赦がない彼が懐かしくなってしまう。

いやしかし、それよりも今は――

「あっはっは!また料理に失敗しちまってよお!」

「ごっ、ごめんなさい……じゃなかった、ごめんなさいですだ!!」

デフォルトでバルドの性格そのまんまの不知火会長と、
メイリン喋りに慣れていないらしいマドンナ、月子がいた。
会長は全く変わりない。豪快に笑うその姿も、父親然とした雰囲気も、いささか大雑把なところも、である。
……相変わらず月子は月子だ。言い間違えているところがまた可愛い。もちろん、メイド服も似合っている。

黒くすすけ、食器等が割れまくった部屋の惨状はともかく。
……この二人の配役に、しばし目を瞬いた。

――いやだが、待てよ。

普通に考えれば、バルドが会長でメイリンが月子になることは妥当なのかもしれない。
なにせ、他にぴったりな人がいない。
一人で考えに耽り、うんうんと頷いた僕をハッと笑うような声がして顔を上げた。

「小さい脳で何を考えられるのですか、坊ちゃん」

す、錫也が……!!

そ、そう、セバスチャンだった。
錫也が、僕にこんな台詞を吐くなんて……!
で、でもセバスチャンなら日常茶飯事の台詞……。
頭の中がぐわんぐわんしてきた。

そんな僕を知ってか知らずか、セバスチャン(錫也)は淡々と指揮を飛ばし、フィニ(羊)とメイリン(月子)とバルド(会長)を駆使して、厨房の片付けを始めた。

「………………」

脳内の情報許容量をはるかに上回った現状に、こめかみを押さえつつ、
どこからか聞こえてきた、

「ほっほっほ」

というタナカらしきポジションの人物の声にも、どこか某弓道部部長に似ていないこともなかったが、もうごめんだと振り向くことはなかった。


▼ 約、一か月半ぶり……ですか;;
  どうにも調子が戻ってきません(泣)今回も色々とやらかしてしまいました。タイトルは『(心配・わずらわしさなどから)のがれる』という意味だそうです。相変わらずぐだぐだな文章ですが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
  2011/07/30
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