東レイ-うば玉にたまずさ | ナノ
02 Fight Machina

大連寺鈴鹿以来の実戦に、気持ちが高ぶる。
興奮で逸る鼓動を抑え、一度深呼吸をする。
心を静め、そして目を閉じた。
瞼の奥に広がり浮かぶのは、ただ真っ暗な闇だった。
静寂。
周囲の喧騒は消え、自らの気が澄んでいくのが解る。
右足を一歩出した状態で、腰を低く落とす。

大鎌を刀の様に構えている右手は重いが、今はその重ささえ丁度良いと感じていた。

「――始め!」

大友陣の声が、呪練場に響き渡った。

瞬間目を開けて直後、すぐさま勢いよく地を蹴る。
空気の抵抗に逆らい空を切る感覚はある程度のスリルがあって気持ちよかった。
視界に春虎とコンがよぎる。二人もうまくやっているようだが、ただ己が今見るべきもの、
己に見えるものは目の前の敵だけだ。
黒楓の眼前に辿りつき下から大鎌を振り上げる。
俺の予想以上の速さに、倉橋が目を見開くのが判った。
しかし鈍い音を立て、大鎌はその装甲に防がれる。
チッと小さく舌打ちをして飛んで後退し、黒楓に斬りかかった場所をすばやく確認すると、
わずかだが傷が入っていた。
ふうん、なかなかやるなと感心する暇もなく、今度は向こうが先に仕掛けてくる。
日本刀ではない分、多少のやりにくさはあるが、それはこちらが不利になる要素ではない。
考慮する必要もない。勝敗に影響するほどのことでもない。
神速で薙刀を的確に急所へ突いてくる。速いな、と避けつつ思うと同時に、
チリッと薙刀が頬を掠った。俺があまりにも黒楓のスピードについてくるからか、
一見余裕がなさげだった倉橋の口元に、笑みが浮かぶ。
結構深く斬られたらしく、つうと頬に血が伝っているのが感じ取れた。

「――上等だ」

口角が上がった。
絶対に勝ってやる。俺の心に火がついた。
そんな間も俺は黒楓の突きを避け続ける。そろそろ単調な攻撃に飽きてきた。
それと共に、俺の体も限界が来ていた。うわ、夏の暑さでバテたのかなと一瞬思うが、
まあどうやら知らず知らずの内にあちらの策に嵌って体力を削られていたようだった。
肩で息をする時間もないほど、戦局は変わりつつあった。


▼ アクションシーン下手くそでごめんなさい!!
  ちなみに、結局夢主は勝ちます(春虎は負けます←)。
  2011/03/22(2011/09/17up)
戻る
[ 3/13 ]
[*prev] [next#]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -