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06 君と在ることの幸せ

――本日は12月31日。大晦日である。

相部屋の音也が翔たちの部屋へと行き、すっかり静かになった自室で、トキヤは年の瀬恒例の紅白歌合戦が流れるのを眺めていた。
御影はガキ使を見たいと主張したのだが、トキヤが紅白を断固として譲らなかったためこのような形になったのである。
並んでこたつに入っている御影は、夕食であったかにすき鍋を食べ終わり、こたつのほどよいあたたかさも相まってうとうとしている。

「……もう寝ますか?」

時間は午後11時30分。
基本的に夜型人間の御影は、この時間はぴんぴんしているはずなのだが。
どうやら今年は、何を思ったのか知り合い全員に手描きの年賀状を送ると言い出し、そのせいで昨日は夜中を回ってまで起きていたらしい。
それを笑って話した御影の目元にはくっきりと黒い隈ができており、トキヤはため息をついたものだ。

「んん……やだ……」

目を一度強く閉じ、眉間に皺を寄せる御影。
首が据わらず、ぐらぐらしていたのでその顎をこたつの上に乗せると顔をうつ伏せてしまった。

「……その様子で反対されても説得力のかけらもないですね」

仕方ないので早めの年越し蕎麦をつくってきます、と続けると、「トキヤのつんでれ……」と舌足らずなくぐもった声が返ってきた。御影の口角はにやにやとしたそれで、明らかに上がっていたのでとりあえず無言で頭を軽く小突いた。
さて、とこたつから出ようと膝をついたトキヤの腕を御影が掴む。

「だいぶ早いけど……。トキヤ、2013年もよろしくな」

その言葉とともに浮かべられていた笑顔は、今年最後に見る彼女の表情にとても相応しいものに思えた。

「ええ、こちらこそ」

僅かに口元を緩め応えると、「やっぱりトキヤつんでれ〜」とどやされたので、トキヤは今度は「ツンデレ、ではありません」ときっぱりと否定した。





この一年は多くの人と出会い、様々なことを経験した。
変わっていく自分が心地よいもののように思えた、不思議な年でもあった。
来年も、御影と――。
いや、御影や皆と未来を歩んでいけたら幸せだと。
トキヤはそっと願いを馳せた。


 君と在ることの幸せ 


▼ 短いですが……;;
  改めて、あけましておめでとうございます!!
  そしてこれにて10000hit企画は完了になります。こんなものでよければどうぞ!(自作発言等禁止)
  2013/01/01〜2013/01/31
※ title:「君の在ることの幸せ」より
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