P3&P4突発部屋 | ナノ
追いかければもう一度逢えるのかな

――そんなふうに思ったことは、いくらでもあった。

あの日に戻れたら、だとか。
戻って、再びやり直せたら、だとか。

そんなふうに、何度でも。


……だけれど。


わたしは、空を見上げた。
あの人と同じ色をした、青い空を見上げた。

ぽつりぽつりと、白い綿雲が浮かぶ空。
気持ちよさげに、それはゆっくりと、きままに流れて行く。


「――……、」

視線を、元の位置に戻す。

目の前にあるのは、以前自分が通っていたものとは幾分も日常的で一般的な高校。
あの都会の慌ただしさから離れた、ごく田舎にあるごく普通の校舎。
白っぽい壁はところどころ塗料が剥げていたり、らくがきを消した跡があったり。
ある種の風格さえ漂わせる錆があったり。
2階建ての、平べったい学び舎。

こういう学校に憧れていなかったといえば嘘になるけど、
でもいざ前にすると、在りし日の日々が思い出されて、
急に色んな想いが込み上げてくる。

不安
悲しみ
辛さ
苦しさ
悔しさ
どう足掻いても、変えられなかった事実が、思い出となってそこに存在していた。
しかし、それに負けないくらいたくさんのあたたかな思い出も、ある。

懐かしい、と目を細める。


八十神高校。


そう名付けられた目の前の高校。
自分がこれから通う場所の名前。


――そして。

これから始まる『物語』の舞台。


追いかけても必ず逢えるとは限らない思い出より、
追いかければ必ず逢える未来へと向かって。

きみに想い焦がれていた過去は、あの日に置いてきたから。
もうきみも、わたしなんか捨てて。
きみを好きだったわたしを棄てて。
きみだけの道を、歩き出していいから。

今までずっと、待たせてごめんなさい。
今までずっと、待っていてくれてありがとう。

大丈夫だから。
わたしは、もう一人でも大丈夫。


――青い空を見上げた。
きみに似た、きみと同じ青い空。
どこまでも広がる、この澄んだ青い空の下。

さあ、進もう。次のステージへ。


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▼ P4夢小説、プロローグ……です!
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  ……ところで、八十神高校って何階建てなんでしょう……
  2011/11/05
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