ギャルゲー厨の幼馴染みと、とても可愛い悪魔と私。

名前、名字名前♂。
職業、高校生。

男子みたいな名前だとはよく言われ、一応青春は謳歌しているそんな私には、一人、幼馴染みが存在する。





「あーっ!神にーさまがまたゲームしてる!!」

「………………………」

「またこれ『僕はゲームで忙しいんだ邪魔をするな』って感じですよお!!」

「…………わかってるなら静かにしろ」

「ほら!名前♂ねーさまも何か言ってください!!」


※ ここは学校です。


「………………放っておけば………?」

「ああ!ねーさままで!」


そんなこんなの休み時間。
授業中でも風呂の中でも食事中でさえ(おそらくトイレの中でもだろうが)、無休でゲーム(ただしギャルゲーに限る)をし続ける男、桂木桂馬。ある方面では、『落とし神』と言われ称えられている……らしい。
そんな人物が自分の幼馴染みであることを思うと、私はいつもため息が出る。
一体どうしてこうなった。

とまあ、一日中ゲームばっかりしている状態に何年も付き合っていれば、否がおうにも慣れてしまうもので。
私にはすでにスルースキルが備わっている。
エルシィも、もう諦めたらいいのに。
どんなに頑張っても、桂馬はPFPを離さないだろうし。
こりゃあもうゲーム中毒を通り越した別物だ。

「………………はあ」

そんな人間で大丈夫か。
大丈夫だ。問題ない。…………………………わけがない。

結婚とかどうするのだろう。
高校生といえば青春の絶頂期だ。その時期に彼女の一人や二人、作らないのだろうか。
うーん。青春の醍醐味が半減するということに、このゲームオタクは気づいていない。
かくいう私も、彼氏なんてものはいないけど。
いやそれにしても結婚の話だ。
………………桂馬の場合、三十路すぎていい歳したおっさんになっても、はたまたおじいさんになっても、ギャルゲーを止めなさそうだ。それに子どもや孫は感化されていくのだろう。ああ可哀想に。
……というか、結婚するのか?
そもそも、桂馬が三次元に興味があるような人間だとは思えない。
もし興味を抱いたとすればそれは、天地がひっくり返る日か宇宙滅亡の日だ。
それくらいに想像できない。

「………どうした、ため息なんかついて」

ゲームが一段落したのか、話しかけてくる桂馬。
しかし一段落と言ってもセーブ中のようで、PFPの画面から目を放すことはない。
その彼の机の前にしゃがみこんで、面白くなさげにPFPをつんつんと突っついているエルシィ。
開いている窓からの穏やかな風によって、ピンクの羽衣がふわふわと揺れている。
可愛いなあ。エルシィが。

「別に何も」

「それにしては頬が緩んでるぞ」

「うぇっ?!」

しまったポーカーフェイスが!

隣の席である私が、まさかエルシィを見ていて和んでるところを、よりにもよってこいつに目撃されるとは。
冷静な光を帯びた目の桂馬にそう指摘され、思わず私は変な声を出してしまった。

「……ふ、」

と。そんな私の叫びを聞いてか、僅かに桂馬が口角を上げた。
人の悲鳴がそんなに面白いかそうなのか。
失礼な奴だと思いつつ、けれど一瞬跳ねた心臓に気づかなかったことにした私は。

「笑うな!」

「でっ!!」

桂馬の頭を一発、殴っておいた。


( わあ! 名前♂ねーさますごいです! )

( これでも本気は出してないんだけどね )

( ……しかし妙に殴られたところが痛いぞ…… )



▼ この短編を書いた時には、夢主のデフォルト名は逢瀬秋良(おうせあきら)にしていました。多分続きません。時系列的には、エルシィが桂馬のところに来て数ヶ月経ったころ。といっても、10月以降の秋本番や冬ではありませんよ。  2011/06/02
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