とある虚像の黎明領域

うそ嘘ウソ


世界を支配するものは、全てうそ。
うそでできている世界は、嫌いだ。

だけど、優しいウソをつく人は、好き。


「やあ。こんにちは! 打ち止め(ラストオーダー)」
「こ……こんにちは……っ」
「……何しに来た、【黎明領域(デイダーク)】」


別に何も、と答えると、彼はこれみよがしに眉根を寄せた。





「ちょっとからかっただけなのになーぁ」

「…………何が“ちょっと”だ」


馴れ初めに、少ぅしディープなギャグの話をしたら、打ち止め(ラストオーダー)は一方通行(アクセラレータ)の後ろに隠れてしまった。
なんだか怯えているようだ。
ううん。なんでだろう?
まったくわけがわからない。

前に戦った相手がゾンビの不死者で、血をばっしゃばっしゃびしゃびしゃ鳴らしながら倒したって言ったのが駄目だったのかなー。

「………つーかそれはギャグですらねえ……」

一方通行(アクセラレータ)に呆れられ、わたしは首を傾げる。
やっぱりわからない。

「おい、打ち止め(ラストオーダー)」

そして彼は、背後の少女に声をかけた。
彼女はその服にしがみついたまま、こちらに出てこようとはしなかった。
だがその代わりに、ちらりと私の方を伺った。
にこりと微笑むと、びくっとして再び一方通行(アクセラレータ)の後ろに隠れる。
……なんだか面白い。

「こいつはこんなだが、根はいい奴だから安心しろ」

おおう。
一方通行(アクセラレータ)はそんなことを言うようになったのかー。
施設にいたときと比べれば、いい傾向だ。……ん?いい傾向?果たしてそれは、本当にいい傾向?

きっと打ち止め(ラストオーダー)は一方通行(アクセラレータ)に好意を抱き、向けている。
だけど彼はそれに応えない。
わかっている上でどうもしないのだから、余計に性質が悪い。
この二人を見てると、さっさとくっついちゃえばいいのにと思うけど、なかなか思うようにはいかないもんなんだなあ。
一方通行(アクセラレータ)が素直じゃないせいで、取り返しのつかないことにならなきゃいいけど。

「う……ミサカはミサカは!仲良くなれるように努力してみる!」

すると一方通行(アクセラレータ)の後ろで叫んだと思うと、打ち止め(ラストオーダー)はだだだとこちらに走ってきた。

「そっその瞳、綺麗ですね!!ってミサカはミサカは精一杯褒めてみる!!」

「んん…………ありがとう。打ち止め(ラストオーダー)はいい子だね」

こういう純粋な子は好きだ。
笑顔と共に礼を言うと、

「!! 褒められちゃった!!ってミサカは振り返って自慢してみる!」

嬉しそうに花を咲かせて一方通行(アクセラレータ)の方を振り向いた。

「……てめえが褒められてどうするんだよ………………」

はあ、とため息をつく彼は、なんだか昔と違って頼もしげに見えた。
……昔も頼りになったけど。
ほんと、変わったなぁ。

「一方通行(アクセラレータ)ー」
「あ?」

「……月が綺麗ですね」
「………………夜じゃねえし」
「血の赤が映えるからいいですね」

「……何言いてぇんだてめえ」
「ん。別に」

「……あっそ」

「えっなになにーどういうこと?!ってミサカはミサカは尋ねてみたり!」
「「……別に」」

「もーっ!!なんで教えてくれないのーってミサカはミサカは頬を膨らませて怒ってみたり!」

この家に居候させてもらおうかな。
二人と住んでいたらきっと飽きないだろうし、何より毎日が楽しくなりそう。





そして彼女が黄泉川と芳川に頼んでここに住まうことを許してもらうのは、そう遠くない未来の話だ。


▼ ……なんだかよくわからない代物。ちょっと頭のねじが外れてて、おかしいヒロインの話。原作を読んでいないので、曖昧にぼかしてありますが、アクセラレータが木原と知り合ったころくらいに、彼はヒロインとも出会います。なので、アクセラレータの彼女の付き合いはかなり長いです。けどまあ色々ありまして、最近までヒロインはどっかに行ってたということで。
  夢主は、本名は明かしてません。なので、名前変換はありませんでした。申し訳ありません。二つ名は、【黎明領域(デイダーク)】ですが。
  最後の「月が綺麗ですね」のくだり。
  あれはそのまんま、「あなたのことが好きです」ですが、ヒロインのおかしな性格からすると、特に言ったことに意味はなかったような感じです。
  そしてアクセラレータは、ミサカの「えっなになにー……」の言葉で、「あなたのことが好きです」ということをヒロインが言いたいんだなということをやがて察し……というより、そう訳すことができると気付き、「別に」と言ったというわけです。
  文章が練られていないにもほどがあるブツでしたが、ここまで読んでくださりありがとうございました!
  2011/06/26

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