当日!/07 I am alive and,I get along in this world.
「「杏樹!」」
わたしを呼ぶ声がして、ホグワーツの廊下を歩いていた足を止め、後ろを振り返る。
だけどそこには、誰も、いなかった。
空耳かなあと首を傾げて、止めていた足を動かして、一歩踏み出した。
*
――何がなんでも、助けてみせる
と、そう決めたときから。
わたしは目に見えるものすべてを、手の届くすべてを、助けると。
もう誰も、苦しませたくない。悲しませたくもない。
今の魔法界はおかしい。
リドル――ヴォルデモートだって、わたしが初めて彼と出会ったころは、ここまで執拗でもなければ狂気に染まっているわけでもなかった。
ただどこか影を持った、性格にも少し難はあるけど本当は優しい。そんな、少年だったはず……だった。
世界が希望を失い。
闇が立ち込めて行く。
霧のようなそれは、光ある未来へと進もうとするわたしたちに絡みつき、前を塞ぎ、進め失くしてしまう。
――だけど。
みんながいるなら。
みんながそこにいて、ふとした瞬間に笑ってくれるなら。
わたしは、持てる力すべてを出し切って、この世界を救おう。
腕が裂けても。
足が引き千切られても。
背骨が折れても。
喉が枯れても。
口から胃液を吐いても。
体中ぼろぼろで、自分の血で塗れたとしても。
――それでもわたしは、みんなを助けたいから。
死ぬ寸前、わたしが戦ったことで、誰か一人でも救えていたなら。
本当に、素晴らしい。
わたしは。
わたしたちは、今、この世界に生きている。
生きているからこそ、生き抜こうとしている。
この世界で、生きて行くんだ。
みんなの笑顔を守ろう。
共に……笑い合える未来に向かうため。
誰ひとりとして、欠けない光の先へ。
*
「「「杏樹!」」」
わたしを呼ぶ声がして、ホグワーツの廊下を歩いていた足を止め、後ろを振り返る。
だけどそこには、三人。
赤みを帯びた髪。そばかすのある顔。ブルーの瞳をしていて、背が高い少年と、
栗色の長いくせ毛。つんとすました表情。髪と同じような色をした目に、小柄な体躯の少女。
――そして。
悪戯仕掛け人であったかつての友を思わせる、くしゃくしゃの黒い髪と丸眼鏡。
百合の名を持っていたもう一人の友人を連想させる、翠蘭の瞳。
そんな、稲妻形の傷を額に刻んだ少年が、笑顔を浮かべてそこに、いた。
思わず顔が綻んだ。
「ハリー!ロン!ハーマイオニー!」
わたしは彼らのもとへ、その一歩を踏み出す。
▼ ……ううむ。個人的には、なんだか微妙な出来の話です;;
前回以上にまとまりがないような……。
こんな話でも、読んでもらえたなら喜ばしいことです。
そして。カウントダウン7日目。つまりは本日は、重大発表当日というわけで。
今回はカウントダウン1日目からの集大成という形で、夢主視点で描かせてもらいました。……ほかのオリキャラが登場させることができなかったのが、少し残念です。時間的に余裕があれば、最終章劇場版へのカウントダウン夢小説も書こうかな……と思います!
補足→一つ目の*の前……in親世代。夢主の名前を読んだのはジェームズ&リリー。
→一つ目の*の次……in子世代。 2011/06/23
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