23日までのカウントダウン! | ナノ
あと5日/02 teatime and you

――それはある日の昼下がり

「リーマス!!」

僕の部屋のドアを勢いよく開け、駆け込んできたのは金髪碧眼の少女――杏樹だった。
突然のことに驚いて目を見開く僕に、彼女は自身の後ろに回していた手を突き出した。

「お茶しない?」

それはカップとクッキーと紅茶の葉がそれぞれ中に入っている袋だった。





目の前の、ジェームズ用のベッドに座っている杏樹は、本当においしそうに紅茶を飲んでいる。
『今わたしはとても幸せ』
そう体現しているといわんばかりの表情だった。
見ているこっちも、思わず笑みが零れてしまう。

部屋いっぱいに、漂うアールグレイの香り。
そこに混じる、焼き立てのクッキーのにおい。
おそらく杏樹が焼いてきたのだろう。
ふとそれらが入った袋に目を向ける。チョコチップを散りばめた、また、ストロベリーを練りこんだ――そんな様々な味が楽しめるクッキーが、そこに入っていた。

その中の一つを手に取り、一口齧る。

サクッ
という、小気味いい音がした。
やがて咥内に広がるふんわりとした感覚。
なぜか心が満たされる気分になる。

まるで魔法のクッキーだ。

そこにいるだけで、周りを笑顔にしてしまう不思議な少女、杏樹が作ったからなのだろうか。
……少し、違うかもしれない。
きっと、彼女はそう――味わう人を想いながら作っている。
何をするにも、相手に必ず想いを馳せている。
だからこそ、このクッキーはおいしくて。
――だからこそ、彼女は僕らを笑顔にする。

「いつもありがとう、杏樹」

そんな感謝の意味を込めて告げる。

――いつも、僕らを笑顔にしてくれてありがとう。

そうすると杏樹は、僕のその言葉の意図を掴めなかったようで、きょとんと首を傾げたあとでこう言った。

「……なんだかよくわからないけど……。どういたしまして!」





――その笑みすらも、僕は好きで。

ずっといつまでも、永遠に覚えていたかった。


▼ というわけで。
  カウントダウン二日目は、リーマスとの話です。
  ……文才のなさはいつも通りなので、気にしないでください!
  2011/06/18
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