彼はいつもブラックコーヒーを飲む

砂糖と牛乳を入れないと飲めない私にとっては、理解できなくて

先週の反省会と称した任務の報告書のまとめでラウンジに行った 時も…

『あ!隊長、またブラックコーヒー頼んだんですか?』

「ああ」

ジュリウスは運ばれてきたコーヒーを口に含むとfirst nameの方 へ顔をあげた。

コーヒーは最近メニューに追加されたものである。
もともとは極東支部のオペレーターであるヒバリがラウンジを訪れた際に淹れていたのだが、それが大評判となり、常連とムツミ本人たっての希望もあって今に至る。

コーヒーの香りは嫌いじゃない、好きな人が飲んでいるのなら尚更だ。
しかし彼女はどうしても頼む理由を聞かずにはいられなかった。

『何でいつもブラックコーヒーなんですか?』

first nameは両手で頬杖をつきながら尋ねる。

「大人…だからだな」

チュッとキスをひとつ唇にして余裕を含んだ笑みを浮かべる。
その姿は眼鏡をかけているせいか、より一層様になっていた。
レンズ越しのブラウンの瞳がfirst nameの瞳を捉える。

またはぐらかされた。
それに、そんな顔・・・反則ですよ!

彼はいつもこの答え方しかせず、 不覚にも毎回その表情にドキドキさせられてしまう。

『(今日という今日は絶対に本当の理由を聞き出してやる!)』

またある日の反省会でfirst nameは固く決意する。

彼はいつものようにブラックコーヒーを注文した。

『隊長、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですか?』

「何をだ?」

書面の上でペンを走らせている手を止めてfirst nameの 方を見る。

『いつもブラックコーヒーを飲む理由』

「教えない、と言ったら…?」

『教えてくれるまでキス禁止です』

first nameがいたずらっぽく笑う。

「そうか…ならば仕方ないな」

そう言うとジュリウスは眼鏡を外し、身を乗り出す。

テーブルで隔たっている距離は縮み、徐々に近づく整った顔

そして唇を塞がれた

店内に響き渡るクラシックのメロディと人々の声

口内にはブラックコーヒーの独特の苦味が広がる リップ音を立てながら離された唇

『んっ…苦、い』

突然のキスに頭が混乱した

『言ってすぐに破るなんて!』

ずるいですよと言いながらもキッとジュリウスを睨むfirst name。

「俺は理由を教えたからしたのだがな」

『どういうこと?』

ますます頭が混乱した。

「君は砂糖入りのコーヒーを飲んでから、俺がブラックコー ヒーを飲んでキスをすると丁度良い甘さになるからな」

『っ!!?』

クールで真面目が取り柄のジュリウスの大胆発言にfirst nameはしばらく俯いたまま、コー ヒーに映る自分の顔を見ていた。

そしてその光景を目撃していたロミオとナナにしばらく質問攻めに遭ったとか


カフェオレの憂鬱


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