『ん・・・』

庭園の窓から射し込む太陽の光り

余りの眩しさに光りから目を逸らし、寝返りをうつ。

『うぅ、追い・・・てかな・・・で』

first nameは身体を丸めてぎゅっと花を掴んだ

『くっ・・・やだよ・・・やだ』

涙が頬を伝うのを感じた。
それと同時に男性の声が響いた

「・・・!・・・・・・・・・!」

暗闇に耐えかねた瞳は重いまぶたをゆっくりと開かれ、視界を捉えた。

「大丈夫か?
ひどくうなされていたが・・・」

目線を上へと上げると
端整な顔の青年が不安そうにfirst nameを見つめていた。

『・・・んぅ、えっ・・・!隊長!?
あぁ、はい大丈夫です』

「おっと、俺たちのこと忘れていないか?」

「隊長だけ独り占めしてずるーい!」

聞き慣れた声のした方向へ顔を向ける

『ロミオ、ギル!?ナナにシエルまで
なっ、何で皆ここにいるの?』

ブラッドのメンバーが全員集まっているのは決して少なくないがそれはブリーフィングや任務がある日
しかし今日は休暇、first nameには思い当たることがなく不思議で仕方なかった。

「「何でって・・・first nameは今日が何の日か覚えてないの(ですか/か)?」」

シンクロした言葉が庭園に木霊して消えた。

『・・・今日?えっ、わからないよ・・・』

「「ハッピーバースデー、first name!!」」

その言葉でfirst nameの頭はすっきりと冴えた
それと同時に顔の温度が上昇していった。

『・・・』

「first name、どうした?」
「どこか具合でも悪いのですか?」

ジュリウスとシエルは心配そうに見つめ

「ひょっとして迷惑だった・・・?あっ、もしかして今日じゃなかったとか!」
「んなわけないって!ちゃんと確認したんだからさ」

焦るナナとロミオ

「泣いてるじゃねぇか・・・そっとしておいてやれ」

自身の上着の袖で彼女の涙を拭うギル

『違うの・・・迷惑なんかじゃないよ
すっごく嬉しい・・・グスッ、私の為にみ、なあり、がとう・・・ふぇぇ』

仲間に対する感謝の気持ちが込み上げ、何度拭っても涙が止まらなかった。

「副隊長・・・じゃなかった、first name!ぎゅうううっと!」

突然ナナがfirst nameに抱きついてきた。

「お母さんがね、私が泣いていた時にはいつもこうやって泣き止むまで抱き締めてくれてたんだ
first nameは笑顔がいっちばん可愛いから、泣き止んで・・・ね?」

首を傾げてお願いするナナはまるで妹のようで

「ナナばっかりずりーよ、俺も俺も!」

ナナに負けじと抱きついてきたロミオは弟のよう

「ふふっ、相変わらずですね
それでは私も・・・」

3人を優しく見つめながら、彼らを包み込むように抱き締めたシエルは姉のよう

「ったく、素直になれるこいつらが羨ましいぜ・・・
抱きつくのは柄じゃねぇが、まぁ頭ぐらいは撫でてやる」

ぶっきらぼうにfirst nameの頭をワシワシと嬉しそうに撫でるギルは兄のよう

「改めて、おめでとう
生まれてきてくれて、俺達と共に居てくれてありがとうfirst name
これからも笑っていてくれ、お前の笑顔が好きだから」

彼女の頬をそっと撫でて穏やかに笑うジュリウスは父親のようだ

『ありがとう、本当に・・・本当に・・・ありがとう!
私も皆のこと大好きだよ
だから私を置いていかないでね・・・どんなことがあっても・・・』

「ああ、もちろんだ」

力強く、5人は頷いた。

「皆さん、これからお昼ご飯にしましょう!
たくさん作ってきましたから召し上がってください」

バスケットの中からサンドイッチやサラダ、フルーツの盛り合わせなどが顔を覗かせていた。

「うっわ〜、すごーい!おいしそー
これ全部シエルちゃんが作ったの?」

「は、はい・・・皆さんに喜んでもらいたい一心で」

「むっむっ、こふぇしゃいっこうだね!あ、こふぇも(うんうん、これ最っ高だね!あ、これも)」

あまりの美味しさに抑えが効かなくなったナナはがつがつと胃袋に入れていく。

「ナナ、食ってばっかりいないで少しは手伝えよ!」

「おい、よそ見すんな」

「はいはい」

一方レジャーシートを敷き、食器の準備を終えたギルとロミオはケーキを運んでいた。

「まるでピクニックだな」

『本当ですね』

大木の下で仲間の行動を見守りながら、微笑む。

どうか、今だけは安らかな時を・・・・・・


世界に六人だけの温度


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