夕焼けを見上げるなんて久しぶり


「しかし、高2にもなって猫追いかけて迷子って・・・。」
「何!まだ言いますかっ。」
「言う言う。何度でも言うさ。」
「もうっ・・・。」
山口くんはさっきからこの調子。
私のことをからかったり、とにかく笑ってばっかりだ。
「・・・暗くなってきたな。
早くしねーと。」
「そう、だね。」
「明日は、晴れ!」
「ふぇ?」
何を突然。
「ほら、見てみろってあの色。
ぜってー晴れだ。」
顔をあげると、そこにはきれいな茜色。
「・・・きれー。」
「だろ?」
なぜか誇らしげな山口くんに、笑ってしまう。
・・・夕日を見上げたのはいつぶりだろうか。
もしかしたら、小学生以来かもしれない。
「うん、きれい・・・。」



早く早く!
紅い空は、私に向かってそう言った。
「さっ、早くしなきゃな。」
山口くんも言った。
「うん、そうだね。」
私は両方にそう、返事をした。
久しぶりの夕焼け空。

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