路地裏の野良猫


「にゃー」
高い声がどこからか聞こえた。
「にゃーにゃー」
「・・・どこにいるの?」
カラン
右から聞こえたなにかが倒れる音。
顔を向ければ一匹の猫。
「にゃー」
「・・・にゃー、じゃわかんないよ。」
私は猫の目線にあわすよう、しゃがんだ。
「みゃー」
「・・・今、ちょっと違って聞こえたけど、やっぱりわかんないや。」
日本語を理解しているかのように私の言葉に反応する。
首輪もなにもついておらず、毛並みはお世辞にも綺麗とは言えない。
しかし、なんだか不思議と綺麗なのだ。こいつ。
「みゃ」
「あっ・・・」
短く鳴いたと思ったら、ふいっとどこかへ向かい始めた。
なんだ、もうどこかへ行ってしまうのか。
ぴたっ
「みゃみゃっ」
「・・・ついてこいってこと?」
猫は止まって、私の方を見て、また鳴いたのだ。
何だか面白そう。
私は猫の後を見失わないように注意しながら追った。

- 2 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -