85.気にする 山姥切国広
自分と他は違うといくら呟いても心に何かが引っかかっているようなそんな気がする。鶯丸殿にもう少し楽にしたらいい、と言われたこともあるが楽にするとは何なのだろうか。愛染殿には好きなものを見つけたらいい、と言われたが好きとは何なのだろうか。見目の良い人の身であればなにか違うのだろうか。短刀のように愛らしければなにか違うのだろうか。自分を形成する逸話があれば違うのだろうか。ふつふつと湧き上がる疑問を頭でこねていると、乱殿が俺に声をかけた。キラキラと輝く瞳が、髪が、自分を責めているように思えて落ち着かず、後ろめたさを抱えてその場を後にした。
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