- ナノ -
 

10.惚れる 山姥切国広 極

 普段からこうしていれば存在感も出るだろうにと自分の背中によりかかり眠る恋刀を思う。しかしながら、自分以外にこれほど気を許されるのも気に入らないのも事実だ。きっと彼にそういうのは早いだろうと気を落ち着かせる。

「ぅ、きりくに…」
「っ、なんだ」
「ん、ぅん…」

 目覚めたのかと思ったのだが、どうやらまた眠ったらしい。なつくように背中に顔をこすられたことに驚き落とした筆を拾う。ただ、今の瞬間の表情を見れず、酷く悔やしいので今日は布団に邪魔をさせてもらおうと一人うなずいた。



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