30.重ねる リヴァイ
ふと目についた。
夕陽が当たる俺の足から伸びる陰が重なっていた。手に持つブレードが交差してまた重なる。
死体 死体 死体。まさに死屍累々だ。眼前に広がる光景に唖然とする。だがそこに悔いはない。罪悪感だけが足元を転がっている。足元から俺を見下し責める。止むことはない。眠るとき、食事中、デスクワーク、訓練の間でさえも。ずっと、ずっと俺を見ている。歪で、自分と似ているようにも思う。病むことはない。いつだってそれは当たり前のように足元から俺を見下す。日常の一部だと精神が俺に刷り込んだからだ。
守れると思った。過去の俺に懺悔する。信じれば生き残ると本気で思った。地面に沈んでいく夕陽に目を向ける。足元に転がっていたはずなのに、そこにはなく、オレンジの光が俺を刺す。罪悪感がざくりざくりと刺さる。横にいる男のブレードが責める。オレンジと一緒に刺す。腕からぼたりぼたりと赤い正義がこぼれ落ちていく。
黒い陰が重なる。手が重なる。足が絡む。生きろという声と俺のごめんなさいが重なる。俺の正義に男の涙が混ざる。
***
「シケた面だな」
「そう?そんなつもりはないぜ」
男が車イスを押す。窓辺にはオレンジがさしこむ。男の手が重なる。唇が重なる。
「なくな」
「ごめん、リヴァイ・・・。俺は、俺は、」
たったひとつだけ、悔いがある。
「守れなかった、リヴァイ。ごめん」
半透明に透ける俺の手が重なる。泣いた顔に死んだはずの心が疼く。
2024.02.11 変換なしに修正
2014.03.11 加筆
2013.11.02
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