セントラルタウン




学園からお小遣いが支給されましたー
私はスペシャルなので3万円――…
幹部生の仕事は面倒だけどお金が貰えるからまぁ良かったわ
幹部の仕事なんてまだ1回もしていないけれどね、などと考えていたら

「午後はセントラルタウンにくりだそーぜー!!」
「『セントラルタウン』って何―――!!?」

蜜柑がすかさず食いつく



蛍がカニミソを食べながら解説を入れた



「セントラルタウンってのは学園敷地内にある商店街みたいなものよ」



なんとも適当な説明に、裕君がすかさず説明を加える


「すべてがアリス職人による店ばかりでね…」

「『百聞は一見にしかず』。アンタも1度行ってみれば?」








蛍の言葉に蜜柑はデートに誘われた!?と目を輝かせている。



デートに誘った、なんて蛍にとって見れば、カケラも思っていないことだったが。















まぁ、そんな訳で、『セントラルタウン』に足を踏み入れたことのない蜜柑はお
お張り切り。


今にも飛び出して、タウンへと向かいかねない勢いだ。



「宵も一緒にいこな!」




ニッと笑いながら蜜柑が古宵の方に歩み寄って来た

…確か今日は用事があったような……
何だったかしら…、思い出せない…





……あっ!!確か一巳ちゃんとお茶会の日だったわ
蜜柑には悪いけど…こればっかりは仕方がないのよね…

「ごめんなさいね…ちょっと先約が入っていて…」
申し訳なさそうに誤る古宵
不満げな蜜柑だったが、また今度一緒に行きましょうといったら渋々頷いてくれた。
蛍は何か怪しげな目でこちらを見ていたが…

古宵はせめてもと思いすぐそこまで着いていくといい一緒に歩きだした



そこまでは良かった。

ただ、そのあと蜜柑がジンジンに捕まり、セントラルタウン行きをすぐさま断られてしまったことで状況が変わってしまった



「何で―――っ!?」

廊下に響き渡る蜜柑の叫び声

はっきり言ってうるさかったりする。


「星なしの上にお前のような問題児、セントラルタウンに行けばきっと騒ぎでも起こすに違いない」

まあジンジンの言い分も分かるけど、そこまで蜜柑に厳しくあたるのはどうかと思う…
変な顔をしている蜜柑を見かねて古宵は口を開いた。



「先生、蜜柑はうるさいし馬鹿だしどうしようもありません。ですけど星なしだからって厳しくあたるのはどうかと思いますわ、あっ先生は怒るのしか脳がないのですね…すいません…気づきませんでした」

蜜柑のことをかばっているつもりの古宵だが、実際けなしているのやら馬鹿にしているやら…
さすがは古宵といったところだが…

対してじんじんは眉間の皺をいつもより3割増しにさせて反論してきた


「お前だってすぐ騒ぎを起こす、ならお前も行くのは禁止だな」

ハッ、と口の端を持ち上げてこちらを見てきた
だが…


「ああ、ごめんなさい。私セントラルタウン行く気はないので」
ふふふ、と笑う古宵
悔しそうにするじんじん


蛇の睨み合いが目の前で行われていることに蜜柑たちは口も手も出なかった

そんなとき見かねて助け舟を出してくれたのはナルちゃんだった

「まぁまぁ、神野先生。彼女は未だ一度もセントラルタウンに行ったことないしどうでしょう行かせてみては」


「鳴海先生っっ!」


ナルちゃん…一瞬見直したのにその変な服で一気にいろいろ冷めたわ…

蜜柑は鳴海にすがり付き泣き喚く
ナルちゃんの言葉を聞いてじんじんは不満といった風に蜜柑のセントラルタウン行きを承諾した。

ただし、条件付で。


『パートナーの同行を持ってのみ、セントラルタウン行きを許可する』


そんなじんじんの条件提示に蜜柑は今必死こいて棗に頭を下げていた
そして私は傍観していた←
「……何のマネだ、コイツ」

横目でチラリと一瞥すると、棗は視線を前に戻した


「お―――っ、星なしが棗さんをデートに誘ってるぞ――っ」


ヒュー、と冷やかしの声が聞こえてくる


ふと、蜜柑が顔を上げて棗を見ようとすれば、膝の上の男の子に気が付いた

古宵もそれに気が付き、膝の上の男の子に目線の高さを合わせた


「何、その子?!アンタの子?」

「え、私蜜柑と棗の隠し子だと思ったわ!!(まぁ違うのは知ってるけど…でも馨ちゃんの息子だしね…)」

「燃やすぞ。テメェ等…」

私の発言に怒ったのか…棗はイライラ最高潮といったところだ。

「冗談に決まってるわ」

このときクラスメイトたちは思った
あんたの冗談は冗談に聞こえないからっ!!

みんなが一致団結しているとき、

「聖陽一、3歳。A組の子で棗に懐いてて時々B組に遊びに来るんだ」

ルーちゃんが淡々と説明しているのを耳に入れつつ、蜜柑とスミレは陽ちゃんに手を差し出す。

「バーカ」

誰がそう言ったかと思いきや、それは思いもしない人物、陽ちゃんだった
蜜柑たちがえ?という顔をする。

「ブース」
「ブーシュ」

「寄るなサル共」
「よりゅなサリュろも」


棗の言葉を復唱していることから棗への懐き具合も伺えた


中々いいコンビね、私も入ろうかしら…なんて考えている古宵
もしも古宵が一員になったら洒落にならない…

蜜柑達はというと、陽ちゃんの言葉に…というか棗の言葉に怒り、悲しみを見せ
ていた

すると陽ちゃんが古宵のほうを見てきた

「ねーちゃ……」

バタバタと両手を振って棗の膝から抜けようとしている
ふっ、とうとう棗も陽ちゃんに嫌われたわねっ!!
と思いつつも陽ちゃんを抱っこした


「なーに?」
「………」


そして陽ちゃんは無言で床に放置してある旗を指差すとクイッと棗の制服を掴ん


「「…………」」

「……棗と一緒にセントラルタウンに行きたいの?」

私の問いに陽ちゃんはコクリと頷いた

そして蜜柑はセントラルタウンへいけることになったんだけど…
なんか陽ちゃんが私になついちゃって1時間くらい離してくれなかったっていうのはまた別の話




(あ、一巳ちゃんに電話しなきゃ…)
(「ごめんなさい、今日行けなくなっちゃった…」)
(「お前の手作りのお菓子で許す…」)
(「ふふ、わかった。楽しみにしててね!!」)






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