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「いたい、いたいわよ!!」

「いったーっっ!!」


鳴海の部屋に響く、痛々しい声の主はというとまさしく先ほど大怪我をした古宵だった
隣では鳴海も喚き散らしている。

「ナル…。当たり前だ。肉が裂けてんだぞ。痛くないわけがない。それと先…燈月…」


ジッと古宵の怪我を見つめる岬
そんなことも露知らず自分のアリスを使って治療し始める古宵

「アリスで直すな」

「あら、私に怪我したままでいろと??」

「そうじゃない。痛い治療をしなきゃ懲りないだろ…」

まさか、まさか岬ちゃんが私にそんなことを言うなんて…
私って愛されてるな…(笑)

「大丈夫ですよ。ちゃんと懲りたわよ………きっと……」

まあ予定は未定よね…
そんなことを思っている間に治療は完了した
ついでにナルちゃんの傷も治してあげた
だって、私って優しいから←

そんな私たちに岬ちゃんは

「2人とも、後でちゃんと病院行けよ」

といった

「ありがとね。岬ちゃん」
と笑顔でお礼を言った

お礼を言われたことに照れたのか、はたまた古宵の笑顔を見たからか、岬ちゃんは頬を赤くして部屋から出でいった



そういえば、学生時代、岬はどことなく柑夏に好意を寄せていた気がしたな、と鳴海は思っていた


「なかなかスリルがあったわ」

ボスッ

などといいながら古宵はソファーに座った
蜜柑は先ほどから心配そうに青ざめて、私とナルを交互に見ている

だから私はそんな蜜柑を安心させるためににこりと微笑んだ


「蜜柑…そんなに心配しなくても大丈夫よ?」

そして鳴海がそっと蜜柑の頭を撫でる

「……いろんな事あって疲れたでしょ。今日はここに泊まっていきなさい」

私はどーしよっかなー
ナルちゃんの所にでもお世話になろうかな??

「じゃ、私もお邪魔しようかしら」

「………」

ナルちゃんが眉間に皺を寄せてこちらを見てきた
もー、先輩思いじゃない子だ…
どこで教育の仕方間違えたんだろう…あ、そういえばナルちゃんの教育は私じゃなかったわ…

「じゃぁいいわ、一己ちゃんの所に行くから」

と言うとナルちゃんはしぶしぶokしてくれた
最初からそうしてればいいのよ!!


「…先生」


消え入るように鳴海を呼ぶ蜜柑の声


「ん?」


「何でウチの手紙燃やしたの?何でウチは『学園に目をつけられてる』の?」


寂しで悲しそうな顔で呟く蜜柑に鳴海は険しい表情を見せて答えた


「ごめんね蜜柑ちゃん。今は何も答えることは出来ないんだ。おじいさんに会わ
せてあげられなくてごめんね」


ぶわっと蜜柑の目尻に涙が溢れる


「先生…じーちゃん病気でっ!なのに毎日学園に…」


「…蜜柑、鳴海先生を信じてあげなさい。信用できないかもしれない、でもきっとこの学園や生徒のことを考えて動いてくれているはずよ。そうよね?先生?」


鳴海はそんな古宵の言葉を聞いて、促されたように喋り始めた

「僕はいつでも蜜柑ちゃんたちの味方でありたいと思ってるから。ココは君らに
とって窮屈で欺瞞に満ちた場所かもしれないけど、でもそれを変えたいと思う。
だから、勝手なお願いだけど――…」


蜜柑ちゃんには、人を信じる心を忘れて欲しくないんだ……。


寂しげに語るナルちゃんの瞳には曇りはなくて、ナルちゃんならいつか本当にやってのけてくれる気がした










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