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―――――夜




あの口論の後蜜柑は食事抜きで部屋に監禁、そして私達の面会も謝絶という処罰を与え
られ、膝を抱えて座り込んでいた



「メシ…くってないんだろ。今井や…飛田や燈月が心配してたから、これ……あいつらからの差し入れ」

ロボットのタカハシさんを鼠を使い欺いて蜜柑の部屋へと忍び込んだ流架の声が耳に入った

蜜柑…ごめんね…、と私はそう思ってその場を抜け出し、瞬間移動のアリスを使ってナルちゃん達がいる本部へと向かった


その頃、蜜柑が脱走計画を練り上げていることを忘れていた私は後で後悔することになった



古宵が本部に向かっているころ職員部屋で鳴海は考え込んでいた

これから先、蜜柑にこのことをどうやって伝えればいいのか
蜜柑の手紙はどうしたら蜜柑の祖父に届けられるのか
いろいろな不安や心配が頭の中を廻る



「ナルちゃん…大丈夫??」


「…宵先輩……」

私は悩んでいたナルちゃんを見つけ声をかけるとナルちゃんは私の名前を呼んで、苦笑いをして、申し訳なさそうにこちらを見た
この際私のことを先輩と呼んだことにはお咎めなしにしてあげよう…



「ナルちゃん…これはどうしようもない事だもの。すべてはあの腐れ野郎のs「鳴海先生!!」って、私に言葉かぶしたの誰よっ!!」

金切り声をあげて飛び込んできたのはB組の副担先生だった


「…どうして、君が此処に…??」


「あぁ、ちょっと授業で聞きたいことがあったので…、それよりもどうかなさったのですか?」


「あ、そうなんです、今しがた正門付近の外門に結界反応があったようで……ま
さか佐倉さんが…」


「「!!」」

しまった…
何で忘れてたんだろう、私は知っていたじゃない
早く行かなきゃ蜜柑が危険にさらされてしまう

私とナルちゃんはその話を聞くとすぐさま職員部屋を去り、蜜柑の所へ向かった
もともと私は蜜柑の行動を把握できていたのでナルちゃんにそれがばれないようにしながら蜜柑の元へ誘導していった


校門に向かっていたときちょうど蜜柑の口を塞ぐ者が現われた


「!!いたっ」


そう声を上げた瞬間蜜柑をナルちゃんが助けだしてこちらに来たまでは良かったが蜜柑を担いでいた人物が見つかったことに焦ったのか、爆弾らしきものをこちらに投げつけてきた
私はすぐさま蜜柑とナルちゃんの前に立ちはだかった
その爆弾は私の体めがけて飛んできた


ドォォン……


そして大きな音を立てて爆弾は爆発した


「ちッ……しくった…」


古宵は肩を押さえながら、地面に膝をついた


「…っ……ゲホ…」



蜜柑は爆発したために起こった煙に咳き込んでいる
蜜柑が無事でよっかた…
私は蜜柑が無事だった事に安堵し、蜜柑の元に足を引きずりながら近づき、苦笑いに近かったかもしれないが微笑んだ


「…蜜柑…怪我は…無いわね…??」


「…!宵!?」


腰を抜かしたまま叫ぶ蜜柑が霞んできた
あはは…結構やばっかったかな…
こんなの久しぶりだから…、アレに比べたらマシだけど…ね…
そんなことを思っているとナルちゃんが焦ったような泣きそうなような顔をして近づいてきた



「先…宵ちゃんっ!!」


ナルちゃんは血を流していたが軽傷で済んだ様で安心した


蜜柑もナルちゃんに続き腰を上げて私に駆け寄ってきた


「二人とも無事でよかった…」


ホッとした古宵と、その白い肌に付いた無数の傷を見て蜜柑は再び涙を流した


先生…、それに宵…。ウチ…ごめんなさいっ、ごめんなさい!」


蜜柑はごめんなさい、ごめんなさいと何度も何度も繰り返し私達に謝った

蜜柑…、そんなに謝らなくてもいいのよ…
だって私が好きで助けたんだから…


「蜜柑ちゃん。帰ろう?」


その様子を見かねたナルちゃんが優しく蜜柑に語り掛けた


「いい?蜜柑。貴女にとって、学園の外は危険だらけなの。だからこんな無茶はもうしないのよ?」


「……でもじーちゃん…っ」


「一緒に帰りましょう?」


実は気丈に振舞っているもののけっこうしんどかったりする
爆弾をモロに食らったため、肉は裂け、結構な血を流し辺りは血の海と化していた
…私の体はいつからこんなに脆くなったのかしらね…
やっぱり、ぬるま湯につかり過ぎていたのかもしれない…
このままじゃあの人たちに馬鹿にされてしまうかも…(苦笑)



蜜柑は私の言葉に仕方なさ気にコクリと頷いた
それを見て私は立ち上がった


「ちょっ…」


突然古宵が立ち上がったことに鳴海は驚愕した、それもそのはずだ。
いくらあの古宵でさえ血を流しすぎているからだ…


鳴海は古宵の前に背中を見せて、膝を付いた


「…なんのつもり?」


はっきり言って後輩に担がれるなんて嫌だ、だからナルちゃんを睨んだがナルちゃんは微動だにしなかった


「その怪我じゃ、ろくに歩くこともままならないでしょう?」


ナルちゃんはもっともな事を言っていたがどうしてもそれに従いたくない
動かない古宵に鳴海はため息を吐くと無理やりに背負って歩きだした
蜜柑もてこてことその後ろをついてくる





そんなこんなで私はナルちゃんに背負われて学園に帰っていった











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