名産品を買った次にふたりが行った場所は日用品雑貨売り場だった。
陽佐という少女が欲しがっていたという1日限定特別品はこの階にあるようで探す最中であった。
「煌希さんって妹さん思いで良いお兄さんなんですねっ」
煌希の隣を歩く皐月は煌希の横顔を眺めながら不意にその言葉を紡いだ。
煌希はというと思いもよらない皐月の言葉にぎょっとなり信じられないものでもみるような眼差しで皐月に向けた。
「いきなり何を言い出す・・・何でそういう見解になるんだよ。」
「だって煌希さん妹さんの誕生日プレゼントの為に、妹さんに喜んでもらたいってわかりますよ?大切にされていて良いお兄さんをお持ちだなって少し羨ましいくらいですもの。」
自身の妹の為に行動に移せることは凄いことだと思う。
自分にとって大事な存在でもなければこんなに必死に奔走は出来ない。
そんな風に大事に思われている陽佐と少女を羨ましく思うのと同時に、その兄である煌希は本当に妹思いで優しい人物だと思った。
素直ではない人だけれど、そういうとことも踏まえて全部が“煌希”という人物で良い人間なのだ。
「・・・おい皐月、」
「?なんですか煌希さん・・・これはチラシ?」
「どれが良いかって聞いてんだよ、陽佐はこのどっちかで迷ってたみたいだし、こういうのは男より女が詳しいだろ。」
ふと、煌希が皐月へ差し出してきたのは今までずっと握りしめていたチラシだった。
そのチラシにはふたつ印が付けられており、どうやらどちらかを誕生日プレゼントに決めかねているようだ。
チラシを見せてどちらが良いかと尋ねる煌希に皐月は少しだけ笑った。
物の良し悪しなどあってないようなものだ、大事なのは気持ちなのだから気持ちさえこもっていればどちらであっても陽佐という少女はきっと喜んでくれる。
それを敢えて自分に尋ねたことが嬉しくもあり、やっぱり優しい人だと改めて思った。
けれどそれは言わないでおこう、きっと“そんなことない”と言うに違いないのだから自分の心に押し留めておこう。
「ではこの商品を見てそれからこっちの商品を見て見比べて決めましょう?」
HAPPY BIRTHDAY((願うならその方が笑顔でありますように・・・))
(妹さん喜んでくれるといいですね!)
(・・・どうだかな。)
(煌希さん素直じゃないんだから・・・ふふっ)
(はぁ?何か言ったか!?)
(いーえっ!ほら皆さんが待つ喫茶店に行きましょっ)
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