煌希の紹介によって左へ流れた髪の青年は雷軌といい、髪をひとつで括った青年は真琴という名だと告げられた。

彼らふたりは人間ではなくポケモンだそうで、レントラーとエルレイドという種族で煌希の元で暮らしているのだという。

そして煌希達はタマムシデパートで買い物があるから来たというが、それは煌希の突発的な行動でもあったと真琴は語り、雷軌もまた話し始めた。

「シスコンじゃねぇんなら何で今日に限って買い物行くなんて言い出したんだよ?今日は陽佐の誕生日で陽佐が物欲しそうにデパートのチラシ見てたからだった、くせに。」

何でも“陽佐”という妹の少女がいるようで雷軌がいうには今日は少女の誕生日で彼女が偶然にも見ていたチラシがタマムシデパートの1日限定の特別品で欲しそうに眺めていたため煌希は誕生日プレゼントとして渡してやるためにここに来たんじゃないかと言った。

「偶々だ!んなわけねぇだろッ」

「・・・いやマスターよ、その右手に握られているものを見てしまっては説得力に欠けると思われるが。」

断固として違うと言い張る煌希だが、その手にはチラシらしき紙が握られてそれは“タマムシデパート1日限定品”と大きく書かれているのが傍目からでも見て取れた。

それを手にしている状態でそうでない断固否定するのにあまり説得力というものがないのではないかと真琴は渋った。

「・・・なぁ、あれって隠してるつもりか?」

「いや、隠れてないだろ。」

「だがマスターは隠してあると信じきっている。」

目に見えるようなあからさまな、とまではいかないがシスコンの分類にはあてはまる類だろう。
そしてそれは本人的には隠しているようだが、傍からみれば隠れきってない。
その光景を見物する燈眞と緑嵐と真琴は如何せん、隠れていない煌希の心情を汲むばかりだ。

「あの煌希さん!もし良かったらご一緒にしても良いですか?この街の名産品を探しているのですが、はじめての土地なので慣れていないものでして・・・煌希さんと一緒だったら心強いです!」

依頼ではタマムシデパートで売買されている名産品を入手して欲しいとのことだったが、見知らぬ世界、見知らぬ土地で買い物をするには些か心細い。

それに、この世界の出身者である煌希ならば名産品には詳しいだろうし彼も買い物をする予定なのだから迷惑にならなない程度に一緒にしても良いだろうかと皐月は煌希に尋ねた。








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