「おせぇよ、何してたんだよお前ら。」

「そうかっかすんなよ煌希、ちょっと寄り道してただけだっての。」

「我はすぐマスターと合流するようにと言ったのだがな。・・・すまないマスター。」

此方へと煌希の元にやってきた2人の人物は互いに対照的な印象を受ける2人の青年だった。
ひとりは首あたりまである髪が左側に流れ、左目の下に泣き黒子があるっ綺麗な顔立ちの青年でもうひとりは最初の古い畏まった言葉遣いだが洋服を身に纏った髪をひとつに括った青年だった。

彼らが煌希の連れであることは間違いないようで、煌希は予定の時間よりも遅れてきた彼らを不機嫌そうに言及した。

なんでもデパートに用があるからと出掛ける煌希に彼ら2人も付き合うと言ってこのタマムシデパートで合流する予定だった。
しかし、左に流れた髪の青年が転々と良い遊び場を見つけては寄り道していたため約束の時間を過ぎてしまったのだという。

髪をひとつに括った青年は急ぎ合流するように促したというが、それで変わるはずがなくこうして遅れ煌希をマスターと呼び詫びた。

「・・・なんだ煌希、脱シスコンしての彼女出来たのか?」

「誰がシスコンだ・・・!んな訳ねぇだろ、ちゃんと連れがいるだろうが。」

左へ流れた髪の青年は煌希とその真正面に居るは皐月の姿を見るなり、面白げに微かに笑うと煌希へ向け言葉を投げたが煌希は不快げに眉を顰めて真向から否定した。

緑嵐と燈眞の姿があるだろと示すと青年は“ざんねん。そりゃあシスコンが簡単にぬけるはずもねぇな”と大して残念そうでもない風情に言葉を返し、対する煌希は“だから
シスコンじゃねぇって言ってるだろ!“と最初の言葉を断固として否定しては皐月は不思議そうに首を傾げ緑嵐に尋ねた。

「緑嵐さん、“シスコン”ってなんですか?システムコンピューターの略とかでしょうか?」

「・・・いや、お前は知らなくていい単語だが、なぜ敢えてシステムコンピューターなんだ。」


「略語としちゃあ合ってなくもないけどよ・・・まぁ、こういう時は記憶喪失は便利じゃね?」

「はい?」

名前以外の記憶を失っているは皐月にとって頻繁に言葉を出されている“シスコン”というものがどういう意味を指すものなのかわからず、緑嵐に見解を求め緑嵐は知らなくても良いと彼女に告げた。

その意味は“シスターコンプレックス”の略で所謂過保護なまでに妹だったり姉だったりする血縁者を大事にするという愛情のひとつである癖のことだが、記憶喪失の彼女にわざわざ知らせることもないだろうと沈黙に徹した。

しかし当のは皐月ってはその意味がわからず悩むばかりだった・・・。








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