会議
鬼兵隊から帰ってきた次の日、私はトシに呼び出しをうけました。なんでだろうか、考えても思い浮かばないなー。いや、本当全く浮かばないよ。嫌々渋々ふすまを開ければ皆が集まってる。ハブくなよ、このヤロー。一気に皆の目がこっちに向く。総悟が呑気にこっちでィ、と手を挙げた。
『はーい。呼び出しッスか?ここ体育館裏じゃないよ。』
「なに、お前。告白気分か?」
『いや、集団リンチ気分。負ける気がしねぇぜ。』
「地味にこえーな。体育館裏とか古いんですけど。」
「いいねィ。土方さんをリンチにするんですね。俺も負ける気がしねぇぜ。」
「なに嬉しそうな顔で刀に手置いてんだ!!お前は突っ立ってねーで座れ。」
「あぁいうのうざいよな。」
「…今回皆に急遽集まって貰ったのは例の件だ。」
「例の件?」
『あれ、近藤さんいたんですね。』
「酷くない!?」
だって存在感がなさすぎて。しかし近藤さんが言った言葉に皆深刻そうにゴクリと唾を飲む。なんだか大変な事っぽい。でもこれは私のお説教ではないみたいだ。晋助と知り合いで鬼兵隊と酒飲みして挙句の果てに通信機をきり。女装した総悟に迎えに来てもらったなんて。てっきり日をまたいでも怒られるかと思ったがそれをもしない事件。全員が集まって会議なんて攘夷か?テロか?人質か?
「例の幽霊の件なんだが…。」
『は?幽霊?』
「知らねーんですかィ?真夜中に歩く音や水の音がするし機械音がするって。」
「隊の中では有名ですよ。ここ2日間位なかったんですけどまた昨日音がして。でるときが不規則なんですよね。」
『規則正しく出ないでしょ幽霊は。退くんは探らなかったの?』
「探って出てきたら幽霊じゃねぇでさァ。」
『まぁ、そうだね。そんなに簡単に見つかっても。総悟は平然としてるね。』
「だって下らねぇでさァ。大体山崎だって怖くて探せてないんですぜ。観察が呆れるぜ。」
「いや、お前。だって幽霊だったら大変じゃーねねねえか!!」
『ねねねえか?どうしたのトシ。』
「幽霊とか苦手なんでィ。だせぇ土方。」
「なななに言ってんだよ。俺が怖い分けないじゃん。お前のためにさぁ。そう、女のお前のために退治しようとだな!なのにそう言う事言っちゃう!」
『…トシ、大丈夫だよ。銀時もそういうの苦手だったから。』
「ばばばバカヤロー!!あんな天パと一緒にすんなよ!!」
『あー、下らない。それでいいもう?幽霊がいるのはわかったよ。』
「名前ちゃん!!協調性を持って!!」
「姉貴!!まじ怖いんッスから!!」
必死に隊士達が出ていこうとする私を止める。他の隊士までここまでびびるとは。皆年考えなよ。だって俺たちも被害者ですから!という。周りもうなづいているという事は皆幽霊をみてると。やべぇじゃん。お祓いしようよ。
『え、皆見たの?幽霊ってそんな皆に見えるもんだっけ。』
「見たってか聞いてるんだよ、音を。」
『音…。』
「廊下を歩く音に水の音…、機械音…。」
『機械音って何?』
「ヴォーとかカチカチとか。」
『アバウトだな。うーん、幽霊ねぇー。そんなもんいないと思うけど。あ、天人とか。それなら皆見えるだろうし。』
「前にもこういう事があったんだがそれとは違うんだよ!勲怖い!!」
「黙れゴリラ!!」
「酷っ!!誰だよ今言ったやつっ。」
ってか前にもあったんだ。そんないとも容易く天人に入られていいのか?真選組…。だから警備を変えたならないって、と言い張るが。まぁ、幽霊だったら警備とか関係ないしね。防犯カメラにはそれらしき影はなかったらしい。
「名前ちゃん…。一緒にトイレに来て。俺1人じゃ行けなくて。」
『おい、真選組の局長がそれでいいのか!?というか男として恥ずかしくないわけ。』
「俺も!!」
「俺も!!一緒に来てください!!」
『別に教えなくていいんですけど。ってかそんなにいっぱい行きたい人がいるなら皆でいきなよ。どうせ私がいっても中まででは入れないし。』
【それだ!】
「おい!!終わった奴まってろよ!!」
「裏切んじゃねーぞ!!」
『…いい年こいて連れションかよ。トシもだし。普通気づくだろ馬鹿か。総悟は何か見てないの?』
「いや、見てやせんぜィ。皆が言ってる音は聞きやしたけど。あ、戸が閉まる音を何回か聞いてやすぜィ。」
「って事はどこかの部屋に入ってるって事じゃないかな?」
『なる程。地味な所に気づくね。さすがジミー。で、どこで?』
「土方さんの部屋の前。」
「…。」
『あ、トシ。トイレ早かったね…大丈夫?』
「副長の部屋の近くって事?」
「…俺部屋変えて貰ってくるわ。いや、別に怖い訳じゃないからね!!」
『必死か。あそこまで怖がるて逆に可哀想だなー。ってかなんで総悟はトシの部屋の前にいるの。夜なんでしょ?」
はっ!!まさか、好きな子程苛めたい。総悟はトシの寝込みを襲いに…。それがバレてはいけないから幽霊の偽装を。今までの事も気づかれないためと、過激な愛情表現。うんうん、巷じゃそういうの流行ってるらしいし。
『そんな子供みたいな事しちゃダメだけど、私は応援してるよ!』
「よくわからないけど違いまさァ。絶対違いまさァ。俺はただ土方さんに呪いを…。」
『…応援してるよ?』
「ありがとうございまさァ。」
「可哀想だな、副長。」
『…呪いって藁人形?』
「へい。」
『やり方古いなー…。そういえば退君も聞いた?幽霊の音。』
「うん。ミントンしてたら水の音したし…。」
『ミントンしてたの?夜中に…。』
「うん。一緒にやる?」
やらない、と即答しとく。あぁ、私本当に真選組入ってよかったのかね…。局長はゴリラ(しかもストーカー)副長はヘタレ(しかも幽霊苦手)一番隊隊長はドS(しかも呪いしちゃう子)観察はミントン大好き(しかもジミ…)ロクなやついない。わかってはいたよ!
「おい、名前。」
『あ、トシ。おかえり、部屋替えたの?』
「いや。女のお前が怖がってると思ってな…。」
『いや、怖がってないよ。その台詞すっごい今更だよ。そしてその手は何?冷や汗で気持ち悪いんだが…。』
「いや、これはトイレの水だ。このままじゃあれだからな…。今日幽霊か確かめるぞ。」
『あれって何?ってか会議は?』
「土方さんが怖いんでさァ。はぁ、仕方ないねィ。これが会議の結果でさァ。」
『あ、これ会議か。くだらなすぎて。皆おびえて連れション行っただけだし。えー、やんの?』
「名前…。近藤さんのトイレに付き合いたいですかィ?これから毎晩泣きながら、ゴリラが部屋訪ねて来ますぜ。」
『よーし!!張り込むぜ!!24時間張り込むぜ!!』
「よし名前その意気だ!!」
って事で張り込みする事に。中のいろんな所に隊士が張り込み、門からも侵入出来ない様になってます。前回の天人も踏まえ屋根の上から空中の見張りも数人。徹底しているが、
『もし幽霊だったら意味ないだろ。天人の仕業じゃないって自分たちもいってたじゃん。幽霊なら門とか閉めてもすり抜けるんじゃないの?』
「ゆゆ幽霊なんかいるか!!」
「土方さん、ライター逆ですぜィ。」
「あ?…あぁ。ついでに蚊取線香もつけるか。」
『確かに蚊がうざい。ねぇ、近藤さんは?見あたらないけど。』
【いつもの所。】
『なる程。痛い程わかった。…暇だね。なんか話題ある?』
「ないな。」
『あー、そのライターどこで買ったの?』
「趣味の悪いライターですねィ。んなの売ってる店の気が知れねーやい。」
「お前のアイマスクも趣味悪いぞ。な、名前。」
『どっちもどっちかな。ってかでてこないじゃん。』
「おとなしく待ってろ!!怖がらなくていいからなっ。ななにかあったら抱きついてもいいぞっ、許してやりますから来てください!怖がらなくていいぞー。」
『お前がな。トシ、怖いなら添い寝してあげましょうかー。』
「な、何言ってんだっ、」
『あー、つまんねえ。総悟、なんかない?』
「…名前を犯す。」
『下ネタ禁止ー。トシ、もう幽霊なんかいないってー…。』
「あぁ。そうかもな。」
「いつもはこの時間ですしねィ。」
『この時間。…もしかしたら私かも。』
「名前…。あんた幽霊だったんですかィ?」
「…それでも名前は俺の仲間だ。」
『違くて!トシ気持ちは嬉しいけど距離めっちゃとったね。幽霊って言ってる原因だよ。廊下を歩く音は私がお風呂に向かう音。水の音はお風呂入ってる音。機械音は多分ドライヤー。』
「…紛らわしい。」
「なんで夜に風呂なんか入るんでィ。」
『一緒に入るわけにはいかないでしょ。ここにはお風呂、女用がないんだもん。こっちは気を使ってんの。』
「…あ。」
あれ?今のあ、は今まで気づかなかったのかな?この数日間私は苦しんでいたのにっ。察してくれて工事するまでの辛抱かな、とか淡い期待を抱いていたよ!こっちは時間制でもいいからさ。酷くないですか。私もいえば良かった。
「お前…どうしてたんだ?この数日間。」
『トイレは女中の人用つかってた。お風呂は皆が寝たあと。』
「なんで言わないんだ?」
『だって聞かないんだもん。はい。これにて解決。皆ー!!寝ていいぞー!!』
【よっしゃー!!】
「名前、本当にお前は…。ったく。さっさと言えよ。そういう事は…。」
「じゃあ、夜いけば名前とお風呂でバッタリですねィ。」
『うわー、ベタだなぁ。』
「…会議開くぞ。大変だろ、変態もいるし。時間制にする。」
「なんでィ。土方さんも見たいくせに。」
「総悟ォォ!!」
「ムッツリなんて最悪でィ。」
「ムッツリじゃねぇ!お前も変わんねーだろぉがっ。」
「俺はオープンでさァ。」
『それもどうかと思うぞ、うん。』
「冷静にツッコミすんなよ。」
ということで無事解決して次の日には会議。お風呂を時間制にすることになりました。工事はお金がないとのことです。ですよねー。まぁ、シャワーしか使ってないので別にいいが。
「じゃあ名前ちゃんはこの間に入っちゃってね。任務とかで時間ずれたら張り紙と、俺かトシに一言言うこと。」
『はい。あ、覗いた奴はー、刺すよ。』
【はい!!】
「ってかどっからナイフ出したァァ!!」
『イッツ ア マジック。はい、鳩。』
「名前ちゃん!!兎は!?」
「名前!俺にも教えてくだせェ。これでいたる所からナイフをだして土方を…。」
「おいィ!!なんか黒いよ!!マジックする奴のセリフじゃねーだろ!絶対教えんなよっ。」
会議からなぜかマジックショーになっていく。私が出した鳩やら兎が部屋をうろちょろする。なんでこんな事できるかって?これも潜入するための技だ。退くんに動物を捕まえるのを頼んでお風呂のスケジュールを眺めた。