アカシア
いつもその日だけ。私たちが生徒会で皆が帰ってしまった後に2人で帰る。恋人になって早一ヶ月。私たちが恋仲というのを知っているのは誰一人いないことだろう。要が絶対に秘密にしたい!と言うので了承したのは確かだが少し寂しい気もするわけで…。
生徒会の日は私たち役員が一緒に帰るのは仕事が遅くなっただとか打ち合わせのためとかごまかしがきくからである。その日しか要とは帰れないなんてちょっとがっかり。しかも手さえ繋がない。
『…ねぇねぇ。なんで彼女がいる、って言っちゃいけないの?男子って変なの。』
「別に男子とかじゃなくてだな、色々うるさいんだよ。まずあの双子!名前と付き合ってると知ったら俺だけじゃなくお前もなんか言われるぞ。あのチビザルはずりぃ、だの紹介しろだのうるさいだろうし。春は清きお付き合いがどうたらこうたらで中身があれだし応援してくれそうだけどあれだ。」
『あれってなによ。』
「だって高校生の半分が初体験をすませてる、っていう春の姉貴の雑誌を半分がキスをすませてると勘違いしたり。男としてどうよ、っていう。」
『別に要は私にキスなんかしないからいいじゃん。どうせ付き合ってるか付き合ってないかわからないようなもんだし…別れる?』
「…んだよ、それ。」
『だからね、てめぇは高校生にもなって彼女1人友達に紹介できないシャイボーイか馬鹿やろうって言いたいわけよ。私は要と、こんな距離感になるために付き合ったわけじゃないんだよ。』
好きでつき合えたのに近くにいるのに隠すなんて意味分からない。遠くないのに遠距離してるみたいで近いのになに考えてるかわからなくて。どんどん遠くなってく要に好きかわからなくなって。私はただ彼女として歩きたかった。
『今と変わらないなら別れてもいいじゃない。』
「だって、あいつらに紹介するとか、他の男の目にうつるのは嫌ってか…。」
『…は?』
「あー、もう!悪かったよ。」
『ちょっと待って。他の男の目っていうのはどういう意味なの!私を紹介するのは他の男の目にふれるから嫌だったの?ねぇ、要。独占欲丸出しだったの要くん!』
「名前お前うちの母さん並みにうざい!うるさいな!んなわけないだろ!俺以外名前を可愛いなんて思う奴いるか。」
じゃあ要は可愛いって思ってるんだ、と言えばかぁああと赤くなった。その場にしゃがんで墓穴をほった、と嘆く彼。可愛すぎて好きだよ要、と言えばお前なぁ!ともっと赤くなりながら怒鳴られてしまった。私もこんな姿他には見せたくないから誰にも紹介しないでおこう。
アカシア
(秘密の愛)
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