頭蓋骨の愛し方

狂愛

窓から差し込む光に目を開ける。横を向けば愛おしい彼女の姿がある。額にキスを落とせばひんやりとしたつめた感触。ああ、今日も綺麗だ。その輪郭を撫でうっとりする。

「名前、君は今日も可愛いね。」

「…あんたって本当に悪趣味よね。病的といった方がいいのかしら?」

「やだなー、波江さん。どこがいけないのさ。彼女を愛す事は彼氏にてって重要な役割だよ。それに俺が語りかけないと可哀想じゃない。」

「…いい加減解放してあげればって思うけど。貴方いつもそれと寝てる訳?」

「それって、彼女の名前は名前だってば。貴方も呼ぶ気がないんだか忘れっぽいんだか。何回もいってるよ俺。」

下に降りてソファに座る。彼女を隣に置いて頭をひとなでする。人間が好きなのは認めていたがこれ程までに一人に執着するとは面白い。これだから人間は自分も含めわからないから面白い。

「波江さんが何と言おうが俺は彼女をずっとそばに置くからさ。」

「警察にばれたらやばいんじゃないの?あんた一応裏にもてはまわしてるでしょうけど折原臨也って言ったらノーマークな訳ないでしょうし。」

「彼女といるのに捕まる理由なんてないよ。そこまで日本は肩ぐるしい訳?君の弟の執着と変わらないよ。」

「一緒にしないで頂戴。普通の彼女だったら誰も文句言わないわよ。骸骨となれば話は別よ。」

「生きてようが死んでようが彼女の愛は変わらない。」

頭蓋骨を持ちあげて愛おしそうに見つめる臨也に波江は可哀想な羨ましそうな複雑な視線を送る。歪な愛が漂う部屋があっても地球は回る。そして今日も彼は彼女を愛す。それが生きてようが死んでようが構わない。その頭蓋骨にキスを落とした。






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