03


どこから音がして目が覚める。誰だよこんな朝っぱら、とか思っていたら携帯のアラーム。そういえば目覚まし時計がなかったからアラームにしたんだ。7時47分の表示に焦る。ヤバい!?ヤバいぞ!!桜蘭までここから結構かかる。敷地内が広い分門から学校までが遠いと聞いたし遅刻する。もっと早くにアラームかけたはずなのに!!もしかして鳴ってたけど起きなかったのかもしれない。

1『なにこれ。ドアに貼ってある。起こしても起きないので先に行きます。ハルヒより、もっと頑張って起こしてよ!そういえば複主2の名前は、今どこ?とメール、よし。あ返事早っ!!入れって主語ないけど。家ってことだよね。近くて便利だな。えーっと、おじゃましまーす。』

2『おはよ。』

1『おはよう、ってなに優雅に紅茶飲んでんの!?しかも本読んでるしィイ!!遅刻しちゃうよ!?ってか部屋片付いてるし。終わってたなら電話にでてくれてもいいじゃん。』

2『なに言ってんの。せっかく晴れて自由の身なんだから遅刻ぐらいしたっていいじゃん。まさかこっちで皆勤賞狙うつもりで来た訳じゃないんだから。ホスト部に会いたいなら放課後でいいでしょ。丁度ハルヒの迎えとハルヒの仕返しがあるわけだし。ゆっくりしなよ。座って座って。』

でも転校初日に遅刻は、というがもう遅刻だよ確実にうっさいんだよ。静かにしてよ、とキレられた。怖いので大人しくする。まぁ、現実で出来ない事をやるチャンスかな。…遅刻とかスケールが小さい気もするけどさ。とりあえず部屋片付けて買い物いこうということになった。しかもうちの部屋をだ。うちの部屋の片づけをしてくれるなんて!こういうとこがあるから憎めない。バンバン捨てるぞー、という意気込むのにはハラハラしたがまぁ、許そうじゃないか。

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ハ「…はぁ。(何で来ないのあの2人!)」

光「どうしたー、雑用。」

馨「ねぇ、昨日のインスタントコーヒーどこで買ったの?」

ハ「普通にスーパーだけど。ね、携帯貸してもらっていい?」

光「お前そんなのも持ってないのかよ。どこに電話すんの?」

ハ「携帯なんて必要ないし。今日友達が転入してくるんだけどこの時間になってもこないからどうしたんだろうと思って。やっぱり起こしとけばよかった。」

馨「あー、また庶民ね。そういえばこのクラスだったよね。よかったね仲間が増えて。ってか、友達なの?類は友を呼ぶって奴?」

光「貧乏は貧乏を呼ぶ訳だ。」

ハ「はいはい。あ、もしもし複主2の名前?完全に遅刻だよ。名前もいる?今なにしてる訳。」

2【あぁ名前ならいるけど遅刻してくー。今買い物に行く所なんだけどなんか買ってきて欲しいものある?そんなに慌てなくていいよ。転入初日に来ない方がインパクトあっていいじゃん、あはは。気にしないで。】

ハ「笑い事じゃないし気にするよ!ちょっと名前まで。複主2の名前を止めてよね。おこしたのに起きてもくれないし。」

1【うちがこの人を止められるわけない。ハルヒも起こすならもっと本気で起こしてよ!まぁ、自力でおきれなかったうちが悪いけど。部活には顔出すね。迎えに行くから!】

ハ「いや、部活始まってる時はもう学校遅刻じゃなくて休みなんだけど。いいから、ちゃんと早く来てよね。」

気が向いたらね、じゃ!と無理やりに切られた。本当に自由すぎるし絶対に来ないだろう。遅刻すんの?と聞いてくる双子に今の事を話すと爆笑された。面白そうとニヤリと笑う2人にハルヒは嫌な予感しかしないのであった。心の中でどんまい、と思ったがそれを止める気はめんどくさくて起きずすぐに授業の準備にとりかかった。

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1『複主2の名前いくよー。学校。』

2『おー、名前は童顔だからその制服似合う。でもなんか、ますますガキっぽくなったね!』

1『笑顔で言うな!ってか複主2の名前、制服は!?なんで男装の学ランなのさ。制服が部屋に掛けてあったはずでしょ。あの可愛いワンピースを着る所が見られると楽しみにしていたのに…。え、ちょっと!しかも髪切ったの!?』

2『切ってない、切ってない。髪結んで隠したの。ほら、器用だからさ。制服は破り、燃やし、捨てた。』

1『燃やしたの!?捨てた!?でもいい感じに制服を着崩してるしなんか似合ってる!!』

2『格好いいだろ?こっちのが楽しそうだしな。そんな可愛いワンピース着れるか。』

そう言うと思った。別にボーイッシュな訳でもないのに変な所気にするんだから。似合わないとか言ってが可愛いのにきっと。トリップだからやりたい放題でだけど言葉もしぐさもピッタリだ。そうやってると男みたいで格好いい、と言えば名前も可愛いよ、とか言われた。男なら良かったのにな。もったいないよ本当に。

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ハ「(なぜこの人が自分に指名を…)」

その頃ホスト部では環の常連客、綾小路姫に指名されて困っているハルヒ。雑用係りからホストの一員となり可愛さが目立つ。ガチャリと音がしたが周りは接客に忙しく気づかない。それをいいことに適当に物色したり傍観しながらハルヒを探しキョロキョロする2人に気付いて1人が近づいてくる。営業スマイルを浮かべているが内心は多分怪しんでいるだろう。

鏡「失礼ですが、どちら様ですか?制服、という事は桜蘭の生徒だろうと思いますがそちらの学ランは、」

『『(魔王キターっ!!)』』

2『どうも、藤岡ハルヒの友人で今日から1-Aに転校してきました。色々諸事情があってまぁ、休みましたけど。』

鏡「あぁ、特体制のハルヒなら、今接客「きゃあ!!助けて!!ハルヒくんが突然乱暴な事を!!」おやおや。」

2『…なんだあれ。絶対あの人性格悪い。ってかハルヒになにしてんだこのや『ちょっ、複主2の名前!落ち着いて!(お願いだから手を出さないで!!ややこしくなるから!!)』

光「あ、ごめん。」

馨「手が滑った。」

2『離せ名前。ハルヒがやられてんの見てられないじゃん。それに言わなかったが今朝神からメールがあってこちとらイライラしてんだ。ほら見ていいよ。』

受け取った携帯をみてみる。神、メールとかするんだ。【やっほー、メールしてみたv元気?特に用事はないんだけどね☆俺のヘアスタイルがきまったからさ。あ、写メールはよくわからなくて。ま、想像してくれあははっ。】これは確かにイライラするが。しかも受信時間が夜中の4時だ。だからって学校を休むのはどうかと思うが今更遅いのでそこはおいておこう。

環「うちの部員に手ぇ出す奴は客じゃないんでね。」

「あ…、環様のバカー!!きゃっ、」

2『馬鹿はどっちだ。この世間知らずが。謝るって事を知らないのかな。その幼稚な頭じゃ理解できねぇか?』

ハ「(なんでいるのっ。名前早く止めて!しかもなんで男装!?)」

1『(無理!複主2の名前怖ェエ!!男口調だから尚更!)」

2『お嬢様だからって調子にのんなよ。なんでも許されると思ってんじゃねぇぞ、「複主2の名前、落ち着いて!自分は大丈夫だから。」あ、そう。本当に?ならいいけど。あーあ、コップがバラバラだよまったく。おい、いつまでいんだ早く視界から消えろ。』

1『ちょっともういいんじゃない?確かにこーいうアンティークカップって可愛いけど高いんだよね?』

2『そーそーあ、大丈夫?スカート塗れてるよ。さっきの巻き沿いくらったのか?』

「あ、いえっ…。」

2『怖がらせちゃってごめん。あー、とりあえず風邪ひかないようにね。』

ハンカチを渡して髪についた滴を手で払う。ありがとうございます、と上擦りながら礼をいう姫にいいえ、と笑いかけた。きざすぎません?どうしたんだ。しかしそんな姿も今の男装だと似合っている。周りの女の子が少しキャア、と色目気だった。ずるい、うちもやりたい。ってか、誰?という双子の突っ込みにとりあえず鏡夜先輩の指示でお客様は帰っていき改めて挨拶をする事になった。自己紹介をすれば双子が楽しそうこっちをみた。嫌な予感しかしない。

光「あー!インパクトの転入生。どっちも女だと思ってた。」

馨「僕も。」

環「君はハルヒの彼氏じゃないよな!!いや、しかしハルヒは男で。」

1『うわぁ、凄い騙されてる!まさかこんなに上手くいくとは思わなかったけど確かに完成度高いもんね。』

埴「?どういう事ー?」

2『私女です、ちなみにハルヒもね。ほら、学生証落ちてるよ。気をつけないとバレるぞ。』

ハ「あ、ありがとう。」

【…は?】

光「えー、お前もそうなの?」

馨「あ、髪結んでるだ。器用だね。え、じゃあそっちは男とか?」

1『女です。胸を見ないでよ!失礼な!』

鏡「ハルヒの事は気づいていたがな。環はハルヒも気づいてないみたいだったがな。面白いが庶民では男装がはやってるのか。」

環「…っ。」

鏡夜先輩が誤解したままなにかノートに記入しているがほっておこう。絶句している環先輩に大丈夫ですか?と言えばありがとうと素敵な微笑みを返された。無駄にイケメン!!でも残念な男なのだ。なんで男装してるわけ?とハルヒが話をふるが面白いからの一言を複主2の名前が返した。男装にノリノリな複主2の名前にため息をつくうちとハルヒ。この先なんにもないといいがそれは無理だろう。今日はホスト部に乱入したがなんだか楽しくなりそうです。




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