05
取引期間残り23日。カーティスとは結構仲良くなれた、と私は思う。でもなんかカーティスの中での私の印象が面白い人、みたいになっている気がする。でも服のセンスはよかった。趣味は毒だけど。今日はやっぱりロベルトかな、と昨日選んでもらった服を着る。しかもカーティスが買ってくれた。今度お礼になにかしなければ。しかし買ってくれた理由が面白いもの見せてもらいましたから、だった。腑に落ちん。

『あ、メイズのお見舞いもいきたいな。』

「名前ー。」

『あ、姉さん。おはよう。』

「おはよう。あら、綺麗な服。似合ってるわ。」

『本当?カーティスが買ってくれたんだ。』

「あのカーティスがっ!?どうやって手なずけて、ああっ。名前がどんどん普通じゃなくなっていく…。」

『普通なんですけど。ロベルトってどこにいるの。今鍛錬所にいる?』

「今日はいないわ。カジノにいるんじゃないかしら?どこは知らないけど。城にはいないから探すしかないわね。人に聞けば見つかるわよ。」
 
えー、探すのー。探してる間に襲われたらどうすんのさ。探すなら地図の意味ないし。せっかく道を覚えたというのに。カジノ街は昨日カーティスと行ったから場所はわかる。しかしあのいくつもある店を回るなんて。カジノ界では有名らしいしいけるか。

『まぁ、行ってきまーす。あ、そういえば姉さん。取引は順調?』

「えぇ。スチュワートとタイロンに手伝ってもらってるわ。また3人でいられるかもしれないの。」

『そっか、またいられるといいね。前みたく仲良くなれる所が見たいから私も。』

「ありがとう。…名前も言いたくなったらなんでも言ってね?」

『ははっ。なんの事、姉さん。お互い取引頑張ろ。じゃあね。』

「…えぇ。」

姉さんは何か言いたそうだけど自分の事に集中してもらいたい。さて、ロベルトの所行こうかな。私は私の取引を成功させに。好き勝手にさせない。私にはやるべきことがあるのだ。さてカジノ街についた。ドアが開くたびにコインやゲームの音がする。どこも似たようなお店だなぁ。どれがロベルトの店かわからなくさ迷っている。

「よっ、姉ちゃん。ギャンブルかい?」

『…。』

「そんな警戒しないでー。俺はあの店の常連なんだけどよ。案内するぜ。オーナーと仲いいからさちょっとサービスするよ。」

『いえ、探している人がいて別にギャンブルする気は…。(ロベルトォオ!!お前が見つからないから変な奴に絡まれたじゃねぇか!! 死ね) 』

「探し人なら俺が一緒に探してやろうか?」

『結構です。もう、行ってもいいですか?』

「いいじゃん。いい服着てるしちょっと遊んでも大丈夫な家柄だろ?」

『…はぁ。いいですよ、行っても。私ギャンブルあんまりやった事ないから相手してくださいます?』

「あぁ、いいぜ。」

ニヤリと笑う男とニヤリと笑う私。私を騙そうなんざ100年早い。だてにギルカタールにいたわけじゃない。子供だったけどライルに色々叩き込まれたのだ。この男ずたぼろにしてやんぜ。ってな訳で当初の目的を忘れ、カジノをやる事に。

『ロイヤルストレートフラッシュ。』

【おー!】

「こ、こちらの金貨。すべてお客様のものになります。」

『どうもありがとう。どうしたの?さっきから負けっぱなしだけど大丈夫ですか。』

「い、いやぁ…。ちょっと。俺ちょっと用事を思い出したから!」

『逃がさないですよ?相手してくれるんでしょ?私稼がなきゃいけないんだよね。付き合ってよ、お兄さん。』

「敬語とれてますけど、」

『いいから座れって言ってんだよ。』

「ひっ!」

ニコリと笑えば男は青ざめた。あー、楽しい。実はギャンブル大の得意なのだ。これなら一千万Gすぐにいくんじゃないかな?ってかロベルトに会いに行かなきゃな。でも、この男いいカモだ。離すのは勿体ない、どうしようかな。

「よぉ、オーナーが来てやったぞ。めんどいけど見回りしにきたぞ。変わりないか?」

「オーナー!丁度いい所に!今店の一角で独りの女が勝ちまくって大儲けしてるらしいんですが。」

「大儲け?女がか?そういえばあの変騒がしいな。俺ってタイミングいいな。さすが運がついてるなぁ。」

「えぇ。しかもまだ若い女で身なりはいいからいいところのお嬢さんじゃないかって。どうやら男の方がナンパしてやらしたらしいんですが予想外に女が強くて。どうしますか?」

「いいところのねー…。いや、そんなはずないよな。あの人にかぎって、あー。俺行ってくるわ。」

「ええ!?オーナーが行くと大事になるから、ってもう!」

『よしっ、勝ったー。あんた口ほどにもないわね。それでよく女引っ掛けて教えてやるなんて大口叩けたわね。さて次は、』

「次!?もう勘弁してくださいっ!!」

『えー。声かけたのはそっち、』

「プリンセス!?」

『あぁ!ロベルト!!おまっ、探してたんだから。』

「何してるんっすか!こんな所で、って俺を探しててくれたんっすか!?」

『うん、でもいないんだもん。そしたらこんなしょぼい男に声かけられるし。』

「嬉しいっす!ってか大儲けしてる女ってあんただったんっすか!?」

『あー、そうなのかな?とりあえずここでようか。結構稼げたし、満足だよ私は。』

「おい、ロベルト=クロムウェルだよな。あれ。」

「隣の女誰だ?ギャンブル凄い腕だぜ?」

ほら、なんか噂がたってるから。さっさと場所を移動しないと。お金を換金している間にロベルトがさっきの男となんだか揉めていた。というかここはロベルトのお店だったのか。私案外いい所に居たのね。騒いですみません、とスタッフに謝って外に出る。

「あっちとこっち。あとあっちとあっちも俺の店っすよ。あとこっちにも…、」

『いや、あっちとかこっちとかそっちとかどっちとか言われてもわからない。』

「そっちとどっちは言ってないっすけど。まぁ、このあたり殆どが俺の店ですかね。」

『そんなに凄かったんだ。なんかごめん。ロベルトの事なめてたわ。』

「うっわ、プリンセス酷ぇ…。ってかプリンセス。ギャンブル得意だったんっすねー。」

『私護身術とか暗殺術とか習ってなかったし隠し子の噂があったから小さい頃外でちゃ行けなかったんだよね。時間だけが有り余ってたから。』

「それでトランプやってたんっすか?」

『そうそう。そしたらなんか出来たみたいな?多分教えてくれたのがライルだからかも。あの人小さい私に実地ができないからって汚い話ばっかり教えてくれて。まぁ、そのおかげで助かった部分もあるけど。でも多分あの男だから騙せただけでロベルトとかだったらバレるなぁ。というかごめんね。言っちゃってるけど詐欺した。』

「えー、でもディラーも気づかなかったんですから。見破られなかったらそれは技です。見抜けない方が悪いんですよ。あんたは悪くない。あ、じゃあ今度勝負しましょうよ!教えますよ。そんだけ勝てるんでしたら素質ありますって!」

『えー。でも、まぁ巧くなって損はないしね。』

「そうッスよ。プリンセス今日はこれからどうします?俺は勿論あんたにつきあいますよ。」

『それはありがとう。そうだなぁ、でももうカジノはいいや。もうとりあえずお金をどうにかしたいかな?持ってるのなんか怖いし…。』

「怖いっすか?」

『私にとっては大金なの。ってかいくら儲けたのかな?一回帰っていい?部屋に案内するよ。』

「プリンセスの部屋にっすか!?いや、そりゃ、あんたの部屋には興味あるってか行ってみたいとは思いますけどっ。」

なんかいきなり顔を赤くしてわたわたし始めた。なんかロベルト、可愛いなぁ。というか興味あるって言われても元からある家具だし私物はほぼない。だから私の部屋って言うよりは客室のままって感じだ。来てもつまらないと思うのだけど。ちゃらそうに見えて初なのかなこの人。

「だってまだ会ったばかっすよ!?それなのに、部屋にあげるだなんてっ。プリンセス!自分をもっと大事にしてくださいよ!!」

『え、あ、はい。なんかすみません。あれ?なんで私怒られてるんだ?別に叱られる事はしてないはずだよ。あの、ロベルト。別に部屋でなにするわけでもないんだから…。』

「ナニって、」

『字が違う!!』

「俺がプリンセスの部屋に行くのってなんだか緊張しますよ。あ、じゃあプリンセスが俺の部屋来てくださいよ。こっから近いですし。」

『ロベルトの部屋?…そっちのがヤバいんじゃないの?』

「いや、別に変な意味じゃないっすよ!!行く場所がないからであって、 あー、もうなんだ俺…。」

『あははっ。』

「笑い事じゃないっすよ!!」

『だって可愛い。』

「可愛い?どこがっすか。あー、とにかく行きましょうよ。なんかこのままだと、俺変なこと口走りそうなんでっ。」

『じゃあ今日ロベルトの部屋行って今度私の部屋きてよ。』

「そうっすね。じゃあプリンセスが儲けた金を数え終わったら、ギャンブルしましょうよ。」

『いーよ。私の特技をみしてやる。』

「負けませんよ。俺だって特技ギャンブルなんっすから。」

『…私たちこれでいいのかな。特技ギャンブルって。一般人って言ってるけどこれ普通か?』
 
「俺はカジノオーナーなんで特技ギャンブルで全然OKっすから。寧ろ嬉しいですよ。」

親指を立てていい笑顔を向けるロベルトにいらっとする。駄目だな私。なにか身につけよう、必ず。特技ギャンブルはやめよう。帰って来い!私の女子力!1日目は弁当とか作って頑張ってたのに、と嘆いてみる。まぁ、お金を稼げたからよしとしよう。



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