「おい、青子!
 なまえがキャンプの時みたいにまた…」


「キャンプの時も、メガネ外したなまえちゃんにクラスの男子が言い寄ろうとしてたもんね」


青子はにやにやしながら言った
こいつ、確信犯だ

キャンプの時もそうだったが、今でもちらほらなまえに近づこうとする男子は結構いる
実は元からなまえは男子の中でひそかに人気があった

物静かだし、気が利くし、まああげたらきりがないくらい男子の中では色々言われていた
俗にいうミステリアスなオーラを放つ魅力的な女子というのが男子のイメージだろう

実際も結構ミステリアスなところがあるし、気が利くのも本当の話だ

だから、付き合い始めてからは他の男子に牽制するつもりでなまえの傍にできるだけいた

それで諦めたやつもいるし、もう聖母のように拝んでるやつもいる

なまえは自覚ないが、なんだかんだで有名人だ


「快斗、なまえちゃんは本人が自覚ないけどモテるよ
 でも、快斗の独占欲のために隠しちゃうのはもったいないかなと思ったの」


「それはそうだけどよ…」


「むしろ、ありのままのなまえちゃんと一緒にいた方がなまえちゃんのためになると思うよ」


青子の言う通りだ
それでも、男子がなまえを厭らしい目で見たり、ジロジロと見たりするのは凄く嫌だ


青子の席を離れ、なまえの席へ戻る


「快斗、青子ちゃんと喧嘩でもしてたの?」


「いや…なんでもないから気にしなくていい
 あのさ、なまえ」


「ん?」


幸せそうに笑うなまえ
ああ、俺こいつのこと一生大事にしたい


「眼鏡ありでも可愛いけど、眼鏡なしも可愛いぜ」


「快斗、青子ちゃんと同じこと言ってる!」


笑いながらそういうなまえのおでこに優しくキスをした
教室がざわめき、なまえは時間差でどんどん顔が赤くなっていく


「快斗のばか」


「お褒めに預かり光栄です」


「褒めてない!」


なまえの赤い顔を見ていたら、さっきまで渦巻いていたもやもやしたものが晴れていた