私はきっと今幸せなんだ
誰かを好きになることができて、友達にも恵まれて、幸せだ

なのに、まだ何を求めているの
どんどん欲張りになる


「なまえ、大丈夫だったのか?この間」

「あ、心配ないよ…」


心配ないなんて嘘だってコナンくんも気づいている
今私はひどい顔をしている

腫れた目を無理やり誤魔化したって、無駄だ
鋭い観察力を持つ探偵の前では無意味


「あれコナンくん?こんなところでどうしたの?」


振り返ると青子ちゃんによく似ているけど違う女の子がいた
コナンくんのお姉さんだろうか
でも、私と同じくらいの年だし、多分それはないかな
だって、私とコナンくん……正確には新一くんは同じ年だから


「ら、蘭姉ちゃんこそどうしたの…」

「スーパーで買い物をしてきた帰りなの
 えっと、そっちの人は?」


蘭姉ちゃんと呼ばれた女の子が不思議そうな顔で私を見る
そりゃあ小学生と高校生が二人でいたら少し不思議だよね!?
誘拐とか、勧誘とかそういうじゃないんだよ!
状況を把握し、唐突に焦り始めた私の頭はぐちゃぐちゃになった


「散歩してて、仲良くなったなまえ姉ちゃんだよ
 なまえ姉ちゃん、こっちは蘭姉ちゃんだよ」

「初めまして、みょうじなまえです」


ドキドキしながら、ぺこりとお辞儀をする
少しぎこちないかな、怪しまれるかも
女の子の方を見ると、その心配はいらなかったようでにこにこと笑って、「毛利蘭です」と自己紹介してくれた


「あれ、お姉さんではないんですか…?」

「実はコナンくんはうちで預かっている子で…」


同じくらいの女の子なのは分かったけど、なんとなく敬語で話してしまった
彼女からにじみ出る凛としたオーラがそうさせたんだと思う


「えっとなまえさん、よければうちがすぐそこなのでお茶でもしていきませんか?
 コナンくんもお世話になってるみたいだし……」


私に合わせてか、蘭さんも敬語で話しかけてきた
コナンくんをチラリとみると、「寄っていきなよ」と言われた


「……じゃあお言葉に甘えて」


遠慮がちな私の返答に不快になった様子もなく、笑顔で「行きましょう」と歩き出した蘭さんに少し涙が出そうになった