■ 桜の下の嘘と確信B
私は新一に頼まれて哀ちゃんと一緒にゴミ箱を探していた
殺された女性はスリの黒兵衛だった
恨みによる犯行かもしれない
「名前、あったわ」
「良かった!」
ゴミ箱を見つけて探し始めようとした時にちょうどゴミを回収する人が来てしまい、なんとか頼んで少し待ってもらっていたのだ
探し始めた時にちょうど近くにいた男の人がどうかしたんですか?と声をかけて来た
事情を話すと一緒に探してくれることになった
「すみません、手伝っていただいて…」
男の人はさわやかに「いいえ!見つかって良かったですね!」と言ってくれた
ゴミ回収の人にも「すみません」と謝ると、男の人と同じように「良かったですね」と言ってくれた
その人はそのままゴミを回収していってしまった
その時、男の人からなぜか名刺を渡された
「え?」
反射的に受け取ってしまうと男の人はどこかに行ってしまった
連絡先が書かれたそれを持って、私は唖然と立ち尽くす
「あの人…」
哀ちゃんは険しい顔をしていた
そして私に「名刺を捨てなさい」と言った
哀ちゃんの言ってることは正しい
男の人の連絡先なんて…
私には沖矢さんがいるし……
「名前、今の人本気だったわよ
あなたには沖矢さんがいるんだから…」
「そうだね
でも、ここに捨てたらあの人にバレて厄介なことになるかもしれないから、家に帰ってから捨てる」
でも、誰かに好意を抱かれることは悪い事じゃないと思う
嬉しくもあり、申し訳なくもある
「江戸川くん、こっちは現場のトイレの先のゴミ箱の中にあったわ」
探偵バッチで新一に連絡すると「んじゃ見つけた財布に指紋をつけないように持ってきてくれ!」と言われた
「はいはい……
行きましょ、名前」
「うん」
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