■ 桜の下の嘘と確信@

「おぉー桜満開じゃー!!」


博士の元気な声が響き渡る
私は子どもたちに誘われて、一緒にお花見に来ていた


「おみくじでも引いて待ってるから、博士は席を確保してシートを広げててくれる?
 行きましょ、名前」

「うん」


博士の了承の返事を聞いて、哀ちゃんは私の手を引き、歩き出した


「名前お姉さんと哀ちゃんは仲良しだね!」

「哀ちゃんと私は昔から親友だからね」

「昔から…?」


失言をした
思わず、「哀ちゃんのお母さんと知り合いでね、生まれた時から知ってるんだよ」と誤魔化した
自信はなかったけど、歩美ちゃんは信じてくれたみたいだ


「わ、中吉だ」


新一のおみくじをチラリとみると『凶』だった
『凶』なんて生まれて初めて見た


「みんなでおみくじ結んでこよ!」と歩美ちゃんが言うとおじいさんが「良いくじを引いたんじゃからもって帰りなさい!おみくじを結ぶのは悪い運を置いていき、運気を変えるためじゃから…」と言った

そういうとおじいさんはどこかへ行ってしまった
私のはそんなに悪くないから大丈夫かな


「じゃあ結ぶのは江戸川くんだけかしら…」


どうやら哀ちゃんも新一のおみくじを見たらしい


「オメーは何引いたんだよ?」

「あら、知りたい?」


哀ちゃんは(可愛い)ドヤ顔で大吉のおみくじを新一に見せた


「すごーい、哀ちゃん!」

「羨ましいです!」

「でも『凶』は滅多に出なくて…逆に縁起が良いとも聞いたから…
 ガッカリしないで、クールキッド!」

「ジョディ先生!」


いつから後ろにいたんだろう
全然気づかなかった…!
どうやら、ジョディ先生もお花見に来たらしい


「久しぶりね、名前」

「お久しぶりです
 ……あの時以来ですね」


水無怜奈を追ったあの雨の日が最後だ
電話では、赤井さんが死んだという連絡をもらったのが最後だ
赤井さんはジョディさんたちに生きていることを言っていない
私からバレることは避けないといけない


「色々聞いているわ
 シュウのことは気にせず、幸せになってね
 シュウもそれを望んでいると思うわ」

「え…?」


チラリと新一を見ると目をそらしたので、確信した
新一、沖矢さんの存在がバレるのって大丈夫なのかな…

新一のことだから、何か考えがあるんだろうけど


「なるほど?
 2人でコソコソ密談しようってわけね?
 公園や神社ってスパイとかがよく情報交換に使う場所だっていうし…
 まあ、公安警察も目を光らせている場所でもあるかせいぜい気を付けるのね…
 行くわよ、名前」

「う、うん」


私も密談に加わりたかった
そんな心を哀ちゃんはお見通しらしく、私の手を強く引いた







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