■ ギムレットC

ベルモットが大学にはしばらく行かない方が良いと言ったので、体調を崩したのでしばらく休むと友達に連絡を入れた
単位的には問題はないけど、学校を休むのは気が引けた
それでも、休むことにしたのはベルモットの焦りようが凄かったからだ

必死に頼まれて、それを無視するほど私は事の重大さに気づいていないわけじゃない
しばらく家から出ないようにと言われているし、何か必要な物があったらベルモットに連絡することになった


《名前、今のところはベルモットの言う通りにしておけ
 一応、俺は近くのアパートを借りた
 何かあったらすぐにでも駆けつける》


赤井さんに連絡するとそんなことを言われた
まるで、全てを知っているような言い方だ
私はまだ説明をしてないというのに


「赤井さん…何で知ってるんですか」

《ボウヤが安室くんから聞いたらしい》

「安室さん…いつの間に…」

《気を付けろよ、奴は危険だ
 ……もう諦めたと思っていたんだがな》

「え?赤井さん何て言ったの?最後がよく聞こえなかった…」

《何でもない。今、ベランダに出てみろ》


赤井さんに言われた通り、ベランダに出ると、少し離れたアパートに赤井さんを確認した
本当だった…と私は唖然とした


《何かあったらすぐに連絡しろ。分かったな?》

「はい」


私が返事をすると電話が切れた
ベランダに冷たい風が吹き抜ける
ブルッと背筋を震わせる
この感じはまるで、最近感じていた寒気のようだった


「ギムレット…すぐ近くにいるの?」

「みーつけた」


振り返った時にはもう遅く、私は頭に衝撃を感じ、気を失った
気を失う前に見た鈴木くん…いやギムレットの顔はどこかで見た気がした


「キティにそっくり
 恐怖に歪んだ顔が特にね」



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