■ ギムレット@

赤井さんと安室さんの一件が終わり、いつも通りの日常がまた続いていた
沖矢さんに関しても赤井さんということに安室さんは気付いていると思う
この前は穏便に済んだだけで、これから何かあるかもしれない
そんなことを考えながら、大学内を歩いていた


「あ、また会いましたね」
「え?」


突然男性に話しかけられて、驚く
よく見ると、見覚えがあった


「この間、お花見の時にお名刺をお渡しした…鈴木です」

「あっ」


気まずい
あのあと名刺は捨てたから、連絡はしなかった


「いきなり知らない人に連絡先渡されたら、警戒しますよね…すみません。」


ここにいるってことは私と同じ学生だったんだ
てっきり、社会人かと思っていた


「えっとその…こちらこそすみません…?」


その時、私の友達がこちら側に駆け寄ってきた


「やだ、名前
 誰、このイケメン〜〜」

「前に助けてもらったことがあるの、えっと…」

「鈴木です、名前さんのお友達ですか?」

「はい〜〜」


良かったらどこかでお話しませんかという鈴木さんの提案により、私たちはカフェテリアに行くことになった。
授業も今日はもうないし、友達もいるしいいやと思ってカフェテリアへ向かう
鈴木さんが大学の友達を連れて、私の友達がなぜか他の女子も呼んで、謎の大所帯となった


「増えすぎじゃない…?
 まるで合コンみたい……」

「みたいじゃなくて、そうなのよね〜」


そういって友達は男子のところに混ざり始めた
ええ、そういうことだったの
突然の展開に驚いていると鈴木くんが私に話しかけてきた


「こうなるつもりじゃなかったんですけど……すみません」

「ふふ、鈴木さんは謝ってばっかりですね
 いいんです、私の友達よくこういうことセッティングするので慣れてます」


しばらくすると、みんなでどこかへ出かけようなんてそんな話になった
サークルに入ったみたい感じだ


「名前、今週の土曜日バーベキューするから、おいでよだって、行く?」

「いいよ」


そう返事をすると友達は嬉しそうにまた大所帯の中に戻って行った



今思えば、最悪にもこの時は私にとってとても楽しい時間だった。
この後、それがどんな悲劇を招くかなんて私には予想できなかった。

幸せからの絶望、幸せを被った絶望が生まれ始めていた。




[ prev / next ]