■ 緋色の真実A

「大丈夫か?」


赤井さんがさっきまで追ってきていた車に乗っていた人たちに声をかけた
あっちの人はやっぱり赤井さんのこと知ってる人たちなんだ


「悪く思わんでくれよ
 仕掛けてきたのはあんたらの方だし…死人でも出そうな勢いだったかな…
 そこで提案だが…今、あんたが持っている携帯とさっき発泡したこの拳銃…交換してはくれないか?」

赤井さんが携帯と銃を交換すると電話先の人に声をかけた
「バーボン…いや今は安室透くんだったかな?」と


「君の連れの車をオシャカにしたお詫びにささやかな手土産を授けた…
 楠田陸道が自殺に使用した銃だ
 入手ルートを探れば何かわかるかもしれん……
 ここは日本、FBIより君らの方が畑だろ?」

《まさか…お前俺の正体を!?》

「組織にいたころから疑っていたが…あだ名がゼロだとボウヤに漏らしたのが失敗だったな
 ゼロとあだ名される名前は数少ない…
 調べやすかったよ、降谷零くん」


降谷零……?
それが安室さんの本名?
私は赤井さんたちの電話に耳をすませていた


「恐らく、俺の身柄を組織に明け渡し、大手柄をあげて、組織の中心近くに食い込む算段だったんだろうが……これだけは言っておく
 目先の事に囚われて…狩るべき相手を見誤らないで頂きたい…
 君は敵に回したくない男の人なんでね
 それと彼の事は今でも悪かったと思っている…」


赤井さんは電話を切ると、持ち主に返した
キャメルさんに車を出すように言うと、耳にイヤフォンのようなものを付けていた
新一との連絡かな


「あいつらなんだったの?」

「立場は違うが、奴らに噛みつこうとしている狼たちだよ…」


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