■ 緋色の疑惑G

「きっとバーボンは今夜にでも来るだろうな」

「そうなんですか…!」

私は今回の件をよくわかっていなかった
バーボン……安室さんがそこまで迫ってきてるとは

「私を攫ったのは…やっぱり人質にして、赤井さんを脅すつもりだったんですかね…」

「そうかもしれないが、単に巻き込みたくなかったという可能性もある」

「みんな聞いて、今から作戦を話すから…!」


新一が作戦について、話し始めた
私も赤井さんも有希子さんも優作さんも新一の話を黙って聞いていた


「名前は………」


新一なら、私をここに残すはずだ
その方がきっと都合がいい


「名前は俺が連れていく」


赤井さんの言葉に私と新一が目を見開く
新一が、そんなのだめだよと赤井さんに反論する


「心配するな、名前は絶対守る」

「………分かった、絶対守ってね…、約束だよ
 名前もいい?」

「う、うん!」


赤井さんがまさかそんな提案をするとは思ってなかった
赤井さんなら新一と同じく、私をここに残しておきたいと思っていたのに

有希子さんが急いで、優作さんに沖矢さんの変装を施して、すぐに出かけて行った
赤井さんは変装をしておらず、ありのままの姿だった
なんだか照れくさくて、目を合わせることができなかった

それを察してか、赤井さんが私の手を引いて、個室へ向かった


「名前、大丈夫か?」

「あ、はい……」


赤井さんが私の髪をそっと撫でた
赤井さんと恋人になって、赤井さんの姿で触れられることは今までなかった


「赤井さんの姿で会うのは本当に久々ですね…」

「ああ……」

「なんかいつもとは違う感じでドキドキしてます…」

「そうだな」


赤井さんは私の意見に同意するものの、その声色からはドキドキなんて感じ取れなかった
オトナ…だなと思った


「名前」


突然、名前を呼ばれて、赤井さんの方を向くと顔が近づいてきた
そして、そのままキスをされた
変装をしてない赤井さんの唇はすこしかさついていた








「いってらしゃい……ってあれ?名前姉ちゃん
 顔真っ赤だよ」


新一に聞かれて、さっきの激しいキスを思い出して、顔に熱が集中した
赤井さんが満足そうに私の手を引いて、家を出た


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