■ 緋色の疑惑F

「有希子さん…どうしてここに?」

「新ちゃんと沖矢くんに頼まれたのよ
 ちょうど帰ってきたしね
 すぐにまた日本を出なきゃいけないんだけども」


そういいながら、私の顔に変装を施していく
ホテルなら脱出して、今は有希子さんの中だからゆっくり変装することができる


「はい、できた!」

「わ、本当に知らない人の顔だ…」

「目立たないように地味な感じにしたわ…
 いつもの名前ちゃんの可愛らしさとは別人になったでしょ?」

「そのかわいらしさがあるかは別として…本当に別人ですね」


有希子さんは車を発車させた
新一からの連絡でベルモットたちが病院から現れたと聞いた
私がいなくなったことに気づくはずだ
私は戦うって決めたんだ
怖気づくな……新一も赤井さんも大丈夫


「名前ちゃんは沖矢くんのこと本当に好きなのねぇ」

「え?」

「私すごく嬉しいのよ
 名前ちゃん、ずっと新ちゃんのこと好きだったでしょ?
 昔から切ない顔で新ちゃんたちを見てる名前ちゃんをずっと見てきたから…」

「新一はずっと私の憧れで大切な親友です」


有希子さんが嬉しそうに笑った
有希子さんに分かりやすいくらいの顔してたのかな


「ふふ、名前ちゃん本当に可愛いわ
 養子にならない?」

「……それも悪くないかもしれないですね」

「え!?本当!?」




新一の家に着くと玄関のところで沖矢さんが待っていた
沖矢さんは私を見るなり、駆け寄ってきて、抱きしめてくれた


「攫われることが予測できなくて悪かった」

「赤井さんは悪くないですよ
 私がもっと冷静に行動できたら…」

「無事で良かった」

「二人とも〜ラブラブしてるところ悪いんだけど、中入らない?」

「え?」


私は今の状況を把握した
玄関で、しかも有希子さんの前で…!
顔がどんどん熱くなる
ピシッと動かなくなった私を見て、赤井さんが笑った


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