■ 緋色の疑惑C

「あれ…沖矢さん?」


大学での授業が全て終わり、大学をふらついていると沖矢さんを見つけた
沖矢さんがキャンパス内に入ってくることなんて今までになかったのに…
それに迎えに来るときは必ず、私に連絡をするという約束をしている

おかしい
沖矢さんに電話をしてみるとすぐに繋がった
私の見つけた沖矢さんが手に電話を持っていない

沖矢さんじゃない
まあそうなるとベルモットか安室さんの可能性が高い
私は捕まっちゃだめだ

スマホの先から沖矢さんの「どうかしたんですか?」という声が聞こえた
すぐに後でかけ直しますと言って、電話を切った

今すぐここを離れなきゃ
赤井さんに助けを求めるべきだろうけど、正体がバレるのが早まるかもしれない
大学から脱出して、近くにいたタクシーを拾った


「すみません…××までお願いします」


新一の家の住所を運転手さんに伝えた
すると、タクシーの運転手がにやりと笑った


「!
 あの、やっぱりおりま…」


私が言い終わる前にタクシーは走り出した
運転手はビリッと顔を剥がした
正確には変装道具を脱いだというのが正しいのだろうか


「久しぶりね、名前
 お花見以来かしら?」

「ベルモット…」


つまり、さっきの沖矢さんは安室さん
全部動きが読まれていた


「悪いけど、バーボンに頼まれたの、あなたを拘束してってね
 大人しくしていれば何もしないわ」

「バーボンは何をするつもりなの?」

「さあ……私にも分からないわ」


安室さんが私の行動をここまで予測していることは予想外だった


「ちなみにさっき、あなたの恋人に変装していたのはバーボンよ」

「沖矢さんのこと知ってるのね……
 沖矢さんに何かしたの…?」

「何もしてないわ
 ただ、あなたを捕まえるためにバーボンが変装しただけよ」

信号で車が停まった時逃げようと構えていると、赤信号になったのと同時に霧吹きようなものをかけられた


「眠っていて」


私はそのまま意識を手放した



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