■ 緋色の疑惑A

ベルモットはきっと私が赤井さんと深くかかわっていたことを安室さんには報告していない
知ってたらもっと大胆な質問をしてくると思う


「赤井秀一は組織にいた時からあなたのことを気にしていました
 なので、赤井秀一が死ぬ前にあなたに何かを残したんじゃないかと思ってたんですけど…
 深読み過ぎましたかね…」

「赤井さんとはほとんどお話したことはありません…
 ただ、私の母のことは少しだけ教えてくれました」

「……キティは良くできた人でしたよ」


私は息をのんでから、安室さんにある質問をした


「安室さんはお母さんがスパイだったという噂を知っていますか」

「……そういう噂があったのは知っていますが、本当だったかはわかりません」

「そうですか…」


車が停止した
窓の外を見ると私が住むアパートだった


「つきました
 キティに関しては組織でも口が固いんです
 スコッチの件はまた今度…」

「はい…送ってくれてありがとうございます」


車をおりようとすると腕を捕まれた
反射的に安室さんの方を見る


「アイツに言っておいてください
 “必ず炙り出してやる”と」


安室さんはそういうと私の腕を離した
心臓がバクバクと嫌な音をたてた

私は急いで車を出る
礼をしてから自分の部屋まで駆けだした

赤井さんと新一が危ない
部屋に入ると気が抜けて、涙が出た
どうしよう

急いで新一に電話をかける


「新一…安室さんは絶対、赤井さんを見つけるよ
 私にはわかるの」

《何か言われたのか!?》

「……赤井さんに“必ず炙り出してやる”って伝言を」

《そうか…
 ここ最近のバーボンの動向を見ている限り、もう時間の問題だ
 赤井さんには俺から連絡をする
 お前は何も心配するな》


分かったと答えると電話が切れた
私の中では黒いもやもやとしたものがずっと消えなかった


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